第七十二話 「もちろんあるよ。少し待っててね。」
第三章予想よりも長くなりそうです。
カウンターに戻ってきたおやっさんは手に持っている弓と矢をテーブルの上に置いた。
「レッドボアと戦うにはせめてこれくらいのを用意せんとな。弓はロングボウ、素材は竹で出来ている。特徴は伸縮性と丈夫さ、そして何より軽い。後はロングボウだから射程距離も長い。矢の方は鋼鉄の矢を準備した。矢じりが鉄より硬い素材で出来てる。これなら、レッドボアの厚い皮でも刺さるだろう。」
おやっさんは丁寧に弓と矢について説明してくれた。
「軽い!」
俺はロングボウを持ってみる。あまりの軽さに驚く。
(俺がスキルで作った弓なんてそれこそまがい物だな。)
「あの、値段はどれくらいになるんですか?」
「そうだな、弓と矢10本込みで金貨5枚。」
俺は金貨5枚を払い、弓と矢を受け取った。弓と矢はエクストラポケットの中に仕舞った。
「話を聞いていただきありがとうございました。」
「ガハハ。あんちゃん、前から思ってたが硬いって、もっと気楽でもいいぞ。」
「え!そうですか?…いや、そうか?」
「ああ、それくらいでいい。じゃあな、しっかりと準備してから行くんだぞ。」
「はい。」
俺はアナグラを後にする。
12月9日 10:00
次に俺が向かったのは薬屋 ボン・サンスだ。
カランカラン
「おはようございます。」
俺は挨拶しながら店に入る。ちなみにボン・サンスも朝の8時くらいから開いている。どうやら、ブィンドでは朝の8時くらいから開く店が多いようだ。
「いらっしゃいませ。あら、ヒロシ君!2日ぶりくらい?」
アリエットさんが奥から出てきた。
「ええ、一昨日に来ましたので2日ぶりですね。」
「今日はどうしたの?またジルに用事?」
「はい。すみません朝早くに。」
「ううん。いいのよ、この前ヒロシ君と話した後、ヒロシ君が薬に興味を持ってるって知ってジルすごく喜んでたから。ちょっと待っててね。」
アリエットさんはジルさんを呼びに奥に戻る。
数分後、奥からジルさんが出てきた。
「やあ、ヒロシ君おはよう。」
「おはようございます。」
俺はジルさんにレッドボアの事を話した。
「なるほど、次のクエストはレッドボアか。それで、僕に何が聞きたいんだい。」
「ジルさんに聞きたいのはレッドボアに効き目がある毒です。」
薬剤師であるジルさんならきっと毒も作れるだろう。薬の素材の中には毒を持つ物もあるからだ。薬屋 ボン・サンスは主に薬を売っているが、魔物用の毒も売っている。
「もちろんあるよ。少し待っててね。」
ジルさんは奥に戻って行った。
小説書きながらの紅茶はおいしい。