第六十八話 「まあ、説明はこんなもんかな。」
今日第二話です。
「え!ヒロシ、スキル持ちなんすか。」
ジャックは俺がスキルを持っている事に驚いた。
「まあな。ついでに言うと2つ持ってる。」
「2つも!でもいいんすか俺に話して。」
「いいよ。まだ1か月ちょっとしか経ってないけど俺はジャック、お前の事結構信頼してんだぜ。」
(この1か月、いろいろあった。ジャックと毎日クエストをこなす日々。今俺にとってジャックはもう信頼できる大切な仲間だ。)
「ヒロシ。よくそんな恥ずかしい事照れずに言えるっすね。でも、うれしいっす。」
ジャックは少し照れながら言った。
「うるせえ。いいからしっかりと聞けよ。」
今になって恥ずかしくなる。
「まず1つ目のスキルは…」
俺が説明を始めようとするとジャックの手に遮られた。
「ちょっと待つっす。」
ジャックは周囲を確認する。多分周囲に人がいないか気にしているんだろう。
「大丈夫だよ。俺の索敵アビリティには何も引っかかってねえ。」
「そうすか、ごめん話の腰を折って。」
ジャックは納得して、近くの岩場に腰かけた。俺も隣に座る。
「まず1つ目のスキルは変わり者だ。スキルの効果は職業関係なくアビリティを習得できる。」
「え!それすごいスキルじゃあないすか。」
今日のジャックは良く驚く。
「ああ、そしてさっき俺はアビリティ弓術を習得した。」
弓術は忍者アビリティではない。弓兵、狩人、レンジャーなどのアビリティだ。だけど誰かに教えてもらえれば他の職業でも習得は可能だ。
(俺は自分のスキルの効果で習得したけど。)
「そして、2つ目のスキルは想像力。これは材料や素材が揃っているなら、作業過程を無視して完成品を作る事が出来る。」
俺は説明を続けながら、エクストラポケットでしなやかな木の枝、鉄、丈夫な紐を出した。矢を作成する過程を想像しながらスキル想像力を使う、すると一瞬で矢が出来た。当然使った素材は消えている。ちなみに矢の作成法はルイスさんに教えてもらった。クエスト中で武器が壊れたら自分で応急措置するから矢と弓の構造は大体理解していると言っていた。簡単な物なら作れるとも言っていた。
「うそ!一瞬で。」
ジャックは目の前に起きた事に驚く。
続けて俺はエクストラポケットからしなやかな木材、丈夫な糸、紐を出す。同じようにスキル想像力を使う。今度は弓を作成した。もちろん弓の作成もルイスさんから教わった。
俺は弓と矢を持って立ち上がり、アビリティ弓術を使う。目標は5mくらい離れた木。出来立ての弓を構え、狙いすまして矢を放った。見事矢は木に命中した。
「よし。」
俺はガッツポーズを取る。
近くにいるジャックはずっと呆けている。
「どうした、ジャック。」
「いや、いろんな事が起きてびっくりしてるだけっす。」
「まあ、説明はこんなもんかな。」
俺は呆けてるジャックをほっとき説明を終える。
もうすぐ夏も終わり。