第六十七話 「え!ヒロシ、スキル持ちなんすか。」
ついに遠距離攻撃手段ゲット。
12月7日 9:30
ベーテの森
「ジャック!そっち行ったぞ。」
俺はジャックの方へホーンラビットを誘い込む。
「任せるっす。」
ジャックがホーンラビットを捕まえ片手直剣で仕留めた。
「ふう、これで最後か。」
「解体で角が出たらすけど。」
解体しても目標の素材がドロップしない事もある。ここら辺は運次第なのだろう。
(こういう所はゲーム感覚だよな。運を上げるアビリティとかもあるのかな。時間があったら探してみるか。)
ドロップ数が少ないのはレア素材って事でいいと思う。
今日は思いのほかスムーズにクエストを終えることができた。
「まだ帰るにしては早い時間っすね。いつも通りアビリティ練習でもするっすか?」
こういう時は各々のアビリティを練習する事にしていた。
「いや、今日はちょっと相談したい事があるんだ。」
「相談すか。」
「フォーメーションについてだ。」
「ああ、昨日言ってた、あれすか。」
俺はジャックにレッドボアと戦う時の注意事項を話した。
「とりあえず、突進は絶対に避ける事。それと群れではなくはぐれ個体を狙う。最後に、怒ると動きが早くなるから注意な。」
俺達は魔物図鑑Ⅰを読みながら、作戦を考える。
「やっぱり、ヒロシのダガーのリーチじゃあとっさに避けるの難しいと思うっす。」
「ああ、俺もそう思う。だから決めたよ。」
「決めたって何をすか。」
「遠距離攻撃を使う。」
「でも、ヒロシの職業って忍者すよね。遠距離武器というとクナイや手裏剣とかすか。」
ジャックは手裏剣を投げる真似をしながら話す。
「それじゃあ、投げナイフとそう変わらん。俺が言っているのはもっと距離がある攻撃手段だ。」
セロで遠距離攻撃は大きく分けて2種類ある。1つは魔法による攻撃。そしてもう1つは弓による物理的な攻撃だ。俺はスキル変り者のおかげで、職業関係なくアビリティを習得できる。悩んだ末俺が選んだのは弓だ。異世界に転移した身として魔法はすごい魅力的に思えた。だけど、魔法攻撃は自身の魔素や家系も関わるらしい。弓の方がまだ確実性がある。練習とレベルを上げれば、だんだん様になると思う。
「ステータス。」
俺はステータスを開き、アビリティ一覧から弓術を選んだ。
「よし、これで完了だ。」
俺は習得したアビリティ欄に弓術がある事を確認してステータスを閉じる。
「何がすか?」
俺のステータスが見えないジャックは何が起こったのかキョトンとしている。ちなみに自分のステータス画面は他の人には見えない。のぞき見などのアビリティやスキルが無いわけではないだろうが、そういった能力を持っている人は稀だろう。
「ジャック、これからお前に俺のスキルを説明する。」
「え!ヒロシ、スキル持ちなんすか。」
ジャックはまず俺がスキルを持っている事に驚く。
後々魔法も使用することになります。