第六十五話 「うす。じゃあ受付に行って来るっす。」
次の相手はレッドボア。
12月6日 14:00
ブィンドまでの帰り道
「そろそろジャックも教えてくれよ、今日使ったアビリティについて。」
俺はブラックウルフの群れと戦った時にジャックが使っていたアビリティの事について聞いた。
(確かコールとウォールって名前だったけ。)
「ヒロシのエクストラポケットに比べたら大したアビリティじゃないすよ。」
ジャックが簡潔に説明してくれた。
「コールは相手の気を引き留めるアビリティでウォールは一時的に防御力を上げるものす。どっちも前衛職のアビリティすね。」
「へー。だからあの時ウルフ達がジャックの方へ向かって行ったのか。」
俺は戦っていた時の事を思い出し納得した。
「うす。でも、コールの範囲はまだ広くないし、知力が高い魔物には効きにくいす。ウォールもまだ短時間のものすから。戦いが長引くと厳しくなるす。」
(たぶん、アビリティのレベルを上げていけば、ましにはなっていくと思うけど。この2つのアビリティがもっと役立つには…)
「やっぱりフォーメーションを少し変えたほうがいいのかもな。」
俺はジャックのアビリティと今日の戦いを振り返りながら言う。
「フォーメーションすか?でも、俺が前衛でヒロシが後衛しかないと思うすけど。」
「ああ、そこは変わらない。ただ、もう少し戦い方を変えようって話だ。」
「今日のブラックウルフ達との闘い。遠距離攻撃が1つあったら大分楽になったと思う。」
近づかれる前に遠距離攻撃で数体倒せれてたら、もっと楽に事が進んでいただろう。
「…確かにそうすけど。」
ジャックも思い出しながら俺の考えに賛同する。
「でも、遠距離役がいないから、今日みたいな戦い方になったんすよね?」
「まあな、この件はもう少し考えさせてくれ、明日詳しく話すから。」
「ヒロシになんか方法があるなら…分かったす。」
12月6日 15:00
冒険者ギルド総括会 ブィンド支部
俺は今日のクエストの素材とブラックウルフの肉と骨を売った。毛皮はフルプレートアーマーを作る時に使えるかもしれないから残した。その間にジャックが次のクエストを探す。
「どうだ、なんかいいの見つけたか?」
手続きを終えた俺はクエストボードで立ち尽くしているジャックに声をかける。
「2つは前にもこなした物を選んだす。後の1つは…悩んでるす。」
ジャックは1枚のクエストを手渡してきた。
それはFランクの討伐クエストだった。目標はレッドボア3体で報酬は銀貨9枚。
「ほう。」
俺達がやってきたクエストより少し難易度が高いクエストだ。
(ジャックはこのクエストに挑戦したいんだろうな。)
「いいんじゃないか。だけど、慎重に準備をしてから取り掛かるぞ。」
「うす。じゃあ受付に行って来るっす。」
ジャックは少し喜びながら受付に向かった。
メインキャラクターは少しずつ成長させていきます。