第六十二話 「うおおおお!」
ブラックウルフ群れ戦終了。
ダガーでボスウルフの喉元に斬りかかり、遠吠えの邪魔をする。
(くそ。浅いか。)
ボスウルフはとっさに後ろに飛び、重傷を避ける。
「グルルルル。」
ボスウルフが飛びついてきた。俺は左手の木刀を構え、とっさに防御の構えをして受け止める。
「っぐ。」
やはり他のブラックウルフより重い。
ミシミシ
ボスの重さに木刀にひびが入る。俺は構わず木刀を押し上げ、ボスを跳ねのける。そして、追撃にダガーで斬りかかるが、ボスはジャンプで避ける。
(相手の手札は素早さと噛みつき、後は爪か。対してこっちはダガーとひびが入った木刀。あの素早さでは投げナイフはそう当たらないな。)
体格が大きい割にボスウルフは素早い。手下の狼に比べ1段階上のステータスなのだろう。
ボスウルフはジグザグに走り、襲い掛かってくる。
「んにゃろう!」
俺は狙いすまし、木刀を縦に振った。
バキバキ
「ん!」
木刀はボスの頭部に当たったが、木刀はボロボロに折れる。ボスはそのまま飛び込んでくる。
「っく。」
木刀が折れた事で動きが鈍った俺はボスウルフに覆いかぶされる。ボスは俺の首元を狙いすまし、噛みついてくる。俺はダガーで防御する。
「っく、この野郎!」
俺は足をボスの腹部に動かして、巴投げの要領でボスを後ろに投げ飛ばす。
「はあ、はあ。」
俺は立ち上がり、腰に差しているもう1本のダガーを抜く。
「グルルルル。」
相手も起き上がり、睨みつけてくる。
「ふう。」
大きく息を吸い、次の攻撃に備える。
「ガウ。」
ボスはまたしてもジグザグに移動し、攪乱する。
俺は自分とボスウルフの距離を確認し、相手のタイミングを計る。
(今だ。)
ボスウルフの最後の1歩を読み、俺は後ろに移動。予想通りボスウルフは飛び掛かってきている。後ろに移動した事により、ボスの頭部が目の前にある。俺は右足に力を入れボスの頭部を蹴り上げる。
俺の蹴りによりボスが宙に浮く。俺の前にはがら空きの腹部、2本のダガーで腹部を斬る。
「グルアア!」
腹部から血が飛び散り、ボスウルフは倒れた。
「はあ、はあ。」
俺は倒れているボスに近づく。まだ息があるボスウルフにダガーで止めを刺した。
(ジャックの方はどうなった?)
俺はジャックの方へ目をやる。
「な!」
ジャックは多数のブラックウルフに噛みつかれ、倒れている所だった。
「ジャック!」
俺は息も整えず、ジャックの方へ走る。
(くそ。少し距離がある。間に合ってくれ。)
ブラックウルフとジャックが近いため、投げナイフを投げるわけにもいかない。
「んのくそ犬が。」
やっとジャックの元に着いた俺は足とダガーでブラックウルフ達を追いやる。
「グルルルル。」
ブラックウルフ達は諦めず、威嚇してくる。
「うおおおお!」
俺も2本のダガーを構え、ジャックを守るように吠える。
俺の咆哮に驚いたのか、ブラックウルフは散っていく。
やっと今月1話目。