第六十話 「よっしゃー。駄犬どもが、かかってこいや!」
戦闘は突然に。
道中
「それにしても知らなかったな。クエストが1度に3つまで取れるなんて。」
最近知った事だがクエスト場所が近いものであれば3つ同時に受けれる。俺達がギルドに行かず、南門で待ち合わせしたのもまだ終えていないクエストが残っていたからだ。
「そうっすね。でも、近くのクエスト限定すけど。」
「それでも、毎日朝早くからギルドに行くよりはいいよ。」
(この事に気付くまでは毎日朝一にギルドに行っていた。今では2-3日に1度でいい。このシステムはかなり便利で、時間短縮にもなる。)
ちなみに今日のクエストが3つ目でホーンラビットの角5本が目標だ。
「で、何があったんすか?」
ベーテの森に着いて少ししてジャックが聞いてきた。
「うん?ああ実はな。」
俺はケビンさんからテントを貰った事を話した。
「え、じゃあ後必要なのは寝袋だけっすね。」
「まあな。出来れば火打石や簡単な料理器具も欲しいけどな。」
「料理器具って、ヒロシ料理出来るんすか?」
「まあ軽くな。いつも干し肉やパンは飽きるだろ。」
(出来れば温かいご飯を食べたい。)
「そうっすね。俺は料理は全然なんで任せるっす。」
12月6日 12:45
「ふう。これで最後に1匹か。」
運よくホーンラビットの群れに遭遇した俺達は挟み撃ちで追い込んだ。数匹には逃げられたが、それでも2人で8匹を討伐する事に成功した。流石に戦闘中1匹ずつ解体する暇はなかったので、今から解体するつもりだ。
「うん?」
俺が最初の1匹を解体しようと手を伸ばす所で、索敵アビリティに引っかかった魔物を見つけた。
「ヒロシ。」
ジャックも気づいたらしい。
「ああ、俺達のを横取りするつもりらしい。」
ジャックと背中合わせて戦闘態勢を取る。
「どうするっす?一旦引くっすか。」
「バカ言え。こんな事でいちいち引いてたら、森の攻略なんて夢のまた夢だ。」
弱気になるジャックに発破をかける。
「そう…すよね。」
ジャックは盾と片手直剣を強く握りしめる。
「ああ、横取りされてたまるかよ。」
相手は静かに、素早く俺達を囲んでいく。しっかりと統制が取れた動きだ。これは群れを指揮しているボスがいるな。こっちも肝を据えて戦わないと痛い目にあう。
ジリジリと囲みが狭くなる。狭くなるにつれて、敵の正体も分かった。俺達と因縁があるブラックウルフだ。数は確認できているだけで10体以上。
グルルルル
ブラックウルフ達は牙をむき出し、威嚇してくる。
「ジャック。背中預けたからな!」
俺は左手の木刀を順手で、右手のダガーを逆手持ちで握りなおす。
「任せるっす!」
「よっしゃー!駄犬どもが、かかってこいや!」
俺の気合を入れた叫びが合図となりブラックウルフが襲ってくる。
こうして、俺達とブラックウルフの死闘が始まった。
やっとバトルが書けます。