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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ジャック・ビーンとコンビ編
71/386

第五十四話 「ああ。地道に行こう。」

彼らは少しずつ強くなる。

12月5日 13:50

ドン

「ほら、これ昇格祝いだ。たらふく食べな。」

 おかみさんが結構な量の揚げ物が入っている皿をテーブルに置いた。

「え!まさか話聞こえてました?」

 俺達の席から中央の厨房は少し離れている。聞こえているならかなり大声だった事になる。

(ランクが上がった事で少し浮かれすぎたか。他の客に迷惑になってなきゃいいけど。)

「いや、全然聞こえきてないよ。サキが教えてくれたのさ。」

「ごめんね。盗み聞きするつもりはなかったんだけど、聞こえちゃったから。」

 サキさんがおかみさんの後ろからひょっこり現れる。

(なるほど、サキさんから伝わったのか。)

「いえ。大丈夫ですよ。それよりおかみさんありがとうございます。遠慮なくいただきます。」

「あいよ。」

 おかみさんは軽く返事して厨房に戻って行った。


12月5日 14:15

マザーステイスト 屋根裏部屋、ジャックの部屋

 昼飯後、話し合いのため俺達はジャックの部屋に来ていた。ジャックの部屋は屋根裏部屋で窓も1つしかない。家具も必要最低限の物しか置いていない。ジャックは安心して寝れる場所があれば十分と以前に話していた。

「ふー。食った食った。」

 俺はジャックの部屋にあるソファーでくつろいでいる。

ガチャ

 ジャックが飲み物を持って部屋に戻ってきた。

「下で飲み物とってきたっす。」

 ジャックはソファーの近くにあるテーブルに飲み物を置いた。

「お、サンキュー。」

 俺は飲み物に手を伸ばす。

「それじゃあ、今日の反省会始めるっす。」

 俺達はクエストを終えるとどちらかの部屋でその日の反省会を開くことにしている。

(大抵はジャックの部屋だけど。飯後にすることが多いし。)

「今日はこれからの事を話そうぜ。」

「これからの事っすか?」

「ああ、そろそろ目標を作るべきだ。具体的なのをな。」

 俺はベーテの森の地図をテーブルに広げながら提案する。

「目標は強くなることじゃないんすか。」

「そうじゃなくて、具体的な目標だ。強くなるのはもちろんだ。ジャックは来年の騎士試験までに中級冒険者になる。俺は各地に冒険して失った記憶の手がかりを探す。」

(本当は失った記憶じゃなくて、元の世界に戻る方法だけど。)

「でも、その為のゴールを決めたほうがいい。」

「なるほど、そうっすね。…だったら、ベーテの森を攻略するのはどうすっか。」

 ジャックは少し考えてから意見を出した。

(ベーテの森攻略か。悪くないかもな。ベーテの森は中級冒険者にとっては比較的難易度の低い森だ。そのために必要なものは…)

「ベーテの森攻略いいな。とりあえず必要な事は…」

「情報っすね。」

 俺の話を遮ってジャックが言う。

「新しい装備と野宿用のもろもろもだな。」

 俺はジャックの意見を補足する。

「装備っすか。」

「ああ、今の革装備じゃ。森の外周と中部はどうにかできても、最深部は厳しい。出来ればフルプレートアーマーが欲しいな。」

 フルプレートアーマーは全身を覆う金属板で構成された鎧の事を指す。西洋の鎧を想像してくれれば分かりやすいだろう。

「でも、フルプレートは高いっすよ。」

「そうなんだよな。」

 確かに新品のフルプレートアーマーはすごく高い。今の収入で考えると買えるのに数年はかかる。

「しょうがないおやっさんに相談してみるか。」

「おやっさんってヒロシのなじみの装備屋の店主っすよね。」

「馴染みってほどじゃないけど、なんかあったら相談しろよって前に言われたしな。」

(もしかしたら、中古品だったら安いかもしれないし。)

「とりあえず今後の目標はベーテの森攻略の準備と装備の格上げっすね。」

「ああ。地道に行こう。」

しばらくは本編が続くと思います。

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