第二話 「? ktbgwkrnink?」= ? 言葉がわからないのか?
「フ―、フー。」
深呼吸を2回ほどして、心を落ち着かせる。
(冷静に考えろ。まずは状況を確かめるんだ。)
(さっきまで自分の部屋のベットの上で寝ていた。そっから変な夢を見た。自称女神に変な質問をされ、適当に答えた。その後の記憶があいまいだな。気付いたらここにいた。てことは、夢の続きか?いやでも夢にしては…)
近くにある草を触ってみる。少しザラザラしているが本物ぽい。
(やっぱり現実なのか、じゃあ誘拐?寝てる間にどっかの誰かにさらわれた。んじゃあ犯人は?いや、今は関係ないか。)
ここで、俺はひらめいた。夢か現実どちらなのか分かる方法がある。それは、すごく原始的で誰もが知っている方法。俺はおもいっきりほっぺをつねってみた。
「っい。」
(痛い。という事は信じたくはないが現実だという事だ。)
ガサガサ
少し離れた所から音がする。俺は極力音を出さないようにし、気配を消す。
ガサガサ
また後ろの茂みから音がする。視界がやけに歪んでることに今になって気づく。
(やばい眼鏡をかけていない。俺は超目が悪く、眼鏡をかけていないと目の前の人の顔すらぼやけて見えるくらいだ。)
ガサガサ
音はしだいに大きくなっていく。音をあまり出さないように俺はゆっくり立ち上がり、逃げる準備をする。
ガサ―
音の正体が茂みからのそりと出てきた、正体は3mはあるだろう大熊。目が悪くても熊と分かるほどの大きさだ。
「まじかよ。」
初の野生熊に遭遇した俺はそうつぶやいた。やっぱり人間怖い時は叫ばないようだ。
尻込みし、腰が抜けその場から動けない。気づいた時には熊はもう目の前にいた。
「はー、はー。」
息が荒くなる。
(やばい。)
とっさに両手を顔の前に動かし頭を守ろうとする。
(無理だ。)
本能で分かるこの1撃は俺の細腕では耐えられない。
死の恐怖で目を閉じてしまう。
ドン
何かが倒れる音がした。1撃が来ない事に驚いた俺はゆっくり目を開ける。目の前にはいかにもな西洋の鎧を着た大男の後ろ姿が見える。兜は着けていなかった。
「Dijybk?」(大丈夫か?)
大男が振り向いた。目が悪いので顔はよくわからないが、声でおっさんぽい感じはした、身長は2mくらいか。そんな巨体おじさんが何か言いながら手を差し伸べてくる。
(何語だ?)
差し伸べられた手を掴む。おっさんが引っ張るが、予想以上の力に俺はおっさんに倒れ込む。はたから見れば俺がおっさんに抱き着いている様に見える構図になった。俺は慌てておっさんから離れる。
「フー。」
とりあえず、命の危機が去った事で軽く息をついた。
おっさんの後ろに先ほどの熊が倒れているのが少し見えるがあまり見ないようにした。
「Dijybsudn.」
おっさんが何かしゃべり始めた。
(英語じゃないし中国語でもない。何語なんだ?)
「Thank you。」
英語だったら通じるだろうと思い英語で礼を言った。
「? ktbgwkrnink?」
おっさんは首を傾げ何か聞いてくる。
(まじか、英語も通じないのか。困ったな。)
頭を掻きどうすれば意思疎通できるかを模索する。
ガサガサ
又茂みから音が聞こえる。それも1か所じゃなく周りの茂みから聞こえる。
(また熊か?)
俺はおっさんの後ろに隠れる。この際カッコ悪いなどとは考えなかった。