第五十話 「コンビ結成だ!」
やっとこの回が書けました。
11月5日 8:00
コンコン
「はーい。」
ノックの音に答え、エイラさんがドアを開ける。
「あら、ジャック君。お見舞い?」
「はい。」
ジャックが花束を持って、部屋に入ってくる。
「ヒロシ、目が覚めたんすね。」
俺の姿を見てジャックが喜んでいる。
「ああ、さっき起きた。」
「お花預かるわ。花瓶に移し替えてくる。」
「ありがとうございます。」
エイラさんは花束を受け取り、そのまま部屋を出た。多分俺達に気を使ってくれたのだろう。
「目が覚めて良かったす。」
ジャックは先ほどまでエイラさんが座ってた椅子に座る。
「見舞いありがとうな。」
「いえいえ。当然すよ。」
「…」
「…」
2人とも黙り沈黙が続く。ジャックも今回の件で思う所があるんだろう。正直、俺も複雑な気持ちだ。あれだけ大口開いておきながら、結果は袋叩きに合って大けが。ジャックにも罪悪感を与えてしまった。
(俺もこの件には屈辱と惨めな思いでいっぱいだ。チンピラ達の顔は一生忘れることは無いだろうな。)
「結果だけ見れば2人とも生きてる。…この件はもうこれで終わりにしよう。」
沈黙を破って、俺は拳に力を込めながら言った。
「でも、俺は…」
「今回は俺が甘かった。俺の判断ミスだ。」
俺はジャックの言葉を遮った。
「違う!あの時俺が残れば…残っていれば…」
ジャックは声を荒げ、立ち上がる。その勢いで椅子が倒れる。1人で逃げて、その後に俺のボロボロの姿を見た事で罪悪感がさらに膨れ上がったのだろう。でも、ジャックを逃がす判断をしたのは俺だし、あの時はああするしか方法がないと思った。今でもどう動けば最善だったのかが分からない。
「…この件はもう終わっている。相手のチンピラ達はラウラさん達が倒してくれたしな。」
もう敵討ちをする必要もない。これ以上俺達が何かをする必要もない。だけど、ジャックの罪悪感と俺の惨めさは残り続ける。だから、俺は提案した。
「なあ、ジャック。俺とコンビを組んでくんねえか。」
「え。」
ジャックは驚いた顔をして、しばらく黙りこむ。
「いや。俺とヒロシで…すか?」
少し時間が経って、やっとジャックが口を開いた。
「ああ、俺とお前の2人で。」
「…俺でいいんすか。」
ジャックはまっすぐ俺の目を見て言った。
「ああ。お前じゃなきゃダメなんだよ。同じくらい嫌な思いをした、つらい経験を共にした、ジャックとなら強くなれる気がする。もうあんな屈辱は味わいたくない。惨めな思いもごめんだ。」
俺の言葉にジャックは黙って力強く頷く。
「こっからだ。俺達はこっから這い上がろう。強くなろう。」
俺は腕を出す。
ガシ
「うす!」
ジャックは力強く俺の手を握った。
「コンビ結成だ!」
俺はニコッと笑い、大声で宣言した。
後日談第二パート。