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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ジャック・ビーンとコンビ編
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第四十八話 「ウ、ウゥ。」

サブタイトルタダのうめき声が多い気がする。

11月3日 17:26

 ジャックを逃がす事には成功した。今頃ジャックはファミリア サンダーバードに急いで向かってくれている事だろう。だが、ここからファミリアまで急いでも10分はかかる。単純計算でここに戻ってくるのには20分はかかる。その間15人の攻撃をしのぐ事は今の俺には無理だ。さらに、全員格上ときている。

「ガハハ、お前もバカだよな。ジャックを置いて1人で逃げることもできたのに。」

 チンピラの兄貴分らしき大男が俺を見ながら高笑いしている。まるで、自分達の勝利が決まっているかのように。周りのチンピラ達も一緒に笑っている。

 この油断に付け込んで逃げる以外俺が生き残るすべはない。俺は右足でけむり玉の位置を再確認する。

 今になって両足が震えている事に気付く。逃走に失敗すれば、最悪殺されるだろう。恐怖しないわけがない、だが恐れて何もせずに倒されるのはごめんだ。俺は恐怖を受け入れ、そしてどんな結果になっても諦めない事を決断する。

「さて、覚悟はもうできてるな。遺言があるなら聞くだけ聞いといてやる。」 

 大男はパキパキと両手の指を鳴らしながら言った。

「だったら、1つだけ。…吠え面書きやがれ!」

 俺はけむり玉を勢いよく踏んだ。一瞬で辺り1面けむりに覆われる。

「何だ。何が起こった。」

 俺は右手でダガーを左手で木刀を持ち、けむりで困惑してるチンピラどもに斬りかかる。

「グハ。」

「何だ。」

「ウワ。」

「ガハ。」

 俺の追撃にチンピラ達はあたふたしている。

(よし、さらに困惑しているぞ。)

 チンピラ達をもう3人くらい斬って、後ろの石壁を登り始める。石壁は2mくらいあるが所々にでっぱりがあったのでサクサクと登れた。

(よし、このままだったら逃げ切れるぞ。)

 後1掴みくらいで登り切れそうだ。

ガシ

 俺の足首を誰かが掴む。急いで振り払おうとするが、強引に引き下ろされ石畳の道に叩き込まれた。

「グア。」

 とっさに両手で顔をガードはしたが、両手に激痛が走る。

 さらに腹に蹴りが入った。

「ガハ。」

 呼吸がうまく出来ず、苦痛で体がよじれる。

 やがて、けむりは晴れ、横倒れている俺は完全にチンピラ達に囲まれた。

「残念だったなぁ。俺様が感知アビリティを持ってなかったら、成功してたかもしれねえのになぁ。」

 大男は言い終えたと同時に腹にまた蹴りを入れてくる。

「ウ、ウゥ。」

 俺は痛みと恐怖で何も言えなかった。

 

 そこからは地獄だった。抵抗出来ないよう、両手、両足は折られ、装備と手荷物は奪われた。その後は袋叩きだ、15人からの暴力。間髪入れずに拳と足が体にめり込む。叫ぶ前に殴られ、蹴られる。感じるのは痛みのみ、口の中は砂と血の味。聞こえるのは汚い笑い声。

(ああ、俺はこんな所で死ぬのか。)

 絶望し、恐怖し、そのまま気を失った。

今日か明日にもう1話投稿します。

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