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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ジャック・ビーンとコンビ編
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外伝7 艱難汝を玉にす

遅れてすみません。風邪で寝込んでました。皆さんもお体に気を付けてください。

 ヒロシがジャックと出会った日の夜、ブルーメンバンドの面々はキッチンで晩酌をしていた。

「すごいなー、ヒロシ君はもう魔物を倒せれるようになっていたなんて。」

 エイラは酒を飲みながら話す。

「確か―に。冒険者になって数日で魔物を倒せたのはすごいーな。流石は俺達の後輩だーな。」

 エースは賛同してうんうんとうなずく。

「成長してることはいいけど、魔物と戦うのはやっぱりまだ早いと思うわ。」

 ラウラは少し語気を強めて言う。

「しかし、早いも遅いもなかろう。クエストで外に出るんじゃから。魔物は初心者だからと言って待ってはくれんしな。」

 キッドはつまみの鳥肉に齧り付きながら言った。

「それはそうだけど。」

「大丈夫よラウラ。ヒロシ君だって十分安全マージンを取るって言ってたじゃない。」

「そうよね。ヒロシを信じるしかないわよね。」


「私はもう寝るわ。」

 ラウラは自室に戻っていった。

「わしもそろそろ寝るとしようかのう。」

「んじゃ俺もシャワー浴びて来るーわ。」

「そう。私はもう少し飲んでる。」

 エイラだけがキッチンに残り酒をちびちびと飲んでいる。

「ヒロシ君が頑張ってるのに。私は何をしてるんだろう。」

 エイラが1人でぽつりと呟いた。

 エイラが思い出してるのは背中にけがを負った日。2年前、クエスト完了後の帰り道。そのクエストで念願のCランク到達する事で皆の気持ちは舞い踊っていた。もちろん、自分も浮ついていた気持ちがあったと思う。ただ、いくら浮ついていても中級冒険者だ。しっかりと周囲は警戒していたし油断もしてなかった。

 しかし、それは突然来た。ドラゴン種のヒドラに遭遇したのだ。そこは別にヒドラの生息地でもなかった。しかし、ヒドラは現れた、それが自然である。いつ何時何が起こるかわからない。圧倒的なその存在に私達ブレーメンバンドはなすすべもなく撤退するほかなかった。正直、その時の記憶は曖昧だ。ただ、必死に逃げたのと背中に激痛が走った事だけは覚えている。その後、何とか逃げ延びた私達ブレーメンバンドは治療後クエスト完了の報告とヒドラの出現をギルドに報告した。

 Cランクには昇格したが誰1人喜んではいなかった。私達はそれから数日間クエストをこなすことが出来ず、ファミリアに閉じこもっていた。ケビンさん達に励ましてもらい、やっと外には出られるようになり、他の3人はクエストもこなせれるようになった。でも、私だけはどうしても魔物と戦えなかった。たとえ、小型の魔物でもあの時のヒドラの姿がちらつき体が震える。

(皆は待ってくれるって言ってくれるけど。いつまでも待たせるわけにはいかない。)

(後輩のヒロシ君も頑張ってるんだ。私も頑張らなくちゃ。)

 エイラはグラスに残っている酒を飲み干し自室に戻った。

外伝2連続。次回は本編です。

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