第三十六話 「了解です。」
次回から外伝が続くかもしれません。
「俺の話って言ってもどこから話せばいい?」
「じゃあ、ヒロシは何で冒険者になったんすか?」
「そうだな、実は俺記憶喪失なんだ。半年前以前の記憶がない。冒険者になればいろんな場所にいけるだろ。冒険者になって自分の記憶を探したい。」
(本当は女神モドキを見つけるか元の世界に戻る方法を探すためだけど。今は黙っとこう。)
俺は異世界転移の事を記憶喪失に変えてこの半年間の出来事を軽くジャックに話した。
「ヒロシ大変だったんすね。それに、まさかヒロシがファミリアサンダーバードの1員だとは。」
(やっぱり1番食いつくところはそこだよな。)
サンダーバードはかなり有名なファミリアらしい。特にケビンさんがすごい人物のようだ。
「1員と言っても俺は入ったばかりだし、入れたのもケビンさん達のおかげだ。」
「そうなんすか。でもお互い夢叶えられたらいいすね。」
ジャックが笑顔で言った。
「そうだな。」
それから俺たちは少し飲んで別れた。ジャックは下宿先がマザーステイストだから俺を玄関前まで送った後、中に戻って行った。
夜中10時ごろ、俺はファミリアに戻った。
「ただいま。」
少し遅くに帰ったのでもう皆寝てると思ったがキッチンの方が明るかった。
「ほーら。無事に帰って来ーた。」
エースさんの声がする。
「良かった。こんな遅くまで帰ってこないから心配したわよ。」
エイラさんが玄関まで出て来る。
「すみません。実は友達と飲み屋で飲んでました。」
俺はエイラさんと一緒にキッチンに向かった。
「そう。早くも友人が出来たのね。」
ラウラさんがうなずきながら喜んでいる。
キッチンにはブレーメンバンドの4人がいた。
「ん?その傷はどうしたの?」
ラウラさんが俺の右手を指さした。
見てみると右手の籠手部分に少し引っ搔き傷があった。多分ブラックウルフとの戦闘で出来たんだろう。よく見ると所々装備に傷がついていた。俺は今日あった話をした。
「な、ブラックウルフと戦っただと!それで、2匹も倒したのか!」
キッドさんが驚いている。
「ええ、まあ。あ、これ素材です。」
俺はリュックに入っている素材を見せた。
「本物だーよ。冒険者になって数日でブラックウルフを倒したのーか。すごいじゃないーかヒロシ。」
エースさんがバシバシと俺の背中を叩き、褒めた。
「待て。確かにブラックウルフを倒したのはすごいし、人を助けるのもいい事よ。だけど、魔物との戦闘は命がけって事は分かるわよね。今日倒したからと言って次も倒せるとは限らないわ。そこは分かるわよね。」
エイラさんが俺を見つめながら言った。
「はい。これからも安全マージンをちゃんと取るよう心がけます。」
俺もちゃんとエイラさんの目を見て話した。
「分かってるならよろしい。後、もし前に晩御飯がいらない事が分かったら知らせてね。」
「了解です。」
俺はシャワーを浴びて自室に戻り、ステータスを開いた。戦闘は今日が初めてだからレベルがどれくらい上がっているか気になる。
結果は2つも上がっていた。
(て事はアビリティ2つも手に入る。どれにしよう。)
まさか、こんなにレベルが上がるとは思わなかった。これも成長アビリティのおかげだろう。
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