第三十四話 「かしこまりました。ご注文を繰り返します。煮魚が1つ、カリーがお2つ、ゲロッグの唐揚げが2つでよろしいでしょうか。」
遅れてすみません。
「この店いろんな種族の方が働いているんですね。」
俺は気になった事をそのまま言った。
「そうですね。リョウさんはエルフ族ですし、その他にもドワーフや獣人の従業員もいます。おかみさんは種族関係なく雇いますから。」
「へー。そうなんですね。」
セロには数多くの種族が住んでいる。当然、種族間でのいさかいもあれば嫌悪し合う種族もいる。種族によっては入国すら出来ない国も存在する。シャルル王国はヒューマンが統治する国だが亜人種・ヒューマン平等の理念を掲げている。逆に隣国のズーク王国ではヒューマン至上主義らしい。さらに奴隷制度も存在しているらしく、ズークではヒューマンが他種族の奴隷を持つ事もある。貴族間では奴隷の数や質で貴族の格を見せるらしい。
少し話がずれたが、俺が言いたいのは亜人種・ヒューマン平等主義のシャルル王国でも多種族の従業員達が同じ職場で働くのは珍しいという事だ。それに、皆楽しそうに働いている様に見える。
(こんなにいろんな従業員が一緒に働いているって事はおかみさんの懐が深いって事なんだろうな。)
「ヒロシさん何頼みます?」
「そうですね。おすすめは何ですか?」
文字は読める様になったが、まだどの料理がどんな味なのかはわからない。
(この世界に来てから飯のほとんどはエイラさんの手料理だったからな。)
「そうですね。煮魚は定番ですし、カリーもおいしいですよ。ゲロッグの足の唐揚げもおつまみとしておいしいです。」
ジャックは何種類かの料理名を挙げる。
正直、煮魚以外はよくわからなかった。カリーはカレーぽい物なのだろうか。ここは、ジャックのおすすめを信じよう。結構繁盛している店だしはずれの料理はあまり無いだろう。
トン
ウェイトレスのリョウがオリンジュース2杯をテーブルに置いた。
「ご注文は決まりましたでしょうか。」
リョウがメモ用紙とペンを出して聞いた。
「ジャックさんのおすすめでいいですよ。」
俺はジャックにそう言った。
「わかりました。じゃあ、煮魚1つ、カリー2人前そして、ゲロッグの唐揚げを2つで。」
「かしこまりました。ご注文を繰り返します。煮魚がお1つ、カリーがお2つ、ゲロッグの唐揚げがお2つでよろしいでしょうか。」
リョウの繰り返しにジャックはうなずいた。
料理は直ぐに来た。煮魚が思ったより量が多かった。カリーは予想通りカレーの味に似ていた。ゲロッグの唐揚げは鳥類の唐揚げと思っていたが、実はカエルみたいな両生類魔物の唐揚げだった事には少し驚いたが食べてみるとかなり美味かった。俺とジャックはオリンジュースを飲みながらいろいろ話した。
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