第三百三十四話 「よし、作りますか」
今月第一話。
「オラ!」
「おっと」
奴隷狩りの手下の大剣を避けて、顔に蹴りを入れた。顎に入って脳が揺れたのか奴隷狩りはふらつき倒れた。
「ひ、やめろ。来るな」
声のする方に目を向けると丁度ジャックがウルスを投げ飛ばしている所だった。
「ガア!!!」
炎に焼かれ、地を転がる大男を前に奴隷狩りは次々と武器を捨てていく。リーダーとその右腕の鎌使いも倒れた今この場の勝敗は決した。
「よっと」
俺達は投降した奴隷狩りを順にロープや鎖で縛っていった。炎の壁は消え、ドロシーにはサツキとホティの側で休んでもらっている。
「リザールは仲間達を出してやれよ」
「ああ、ありがとう」
「クソが…この裏切り者」
イザベラもウルス隊の捕縛を手伝ってくれていた。
「ええ、だからあたしも捕まるよ。あなた達を縛り上げた後にね」
「ヒロシ殿こやつでござる」
「こいつがウルス達を呼んだのか」
ロンブスの手下の中に通信系のスキルを持っていた奴がいた。名はディエゴ・シグナル、捕まる直前にスキル救難信号でウルス隊の戦闘員キリサメに信号を送っていたようだ。
「また呼ばれると面倒っすね」
「斬り捨てるでござるか?」
「いや、待て。信号はまだ送れるのか?」
確か、奴隷狩りはもう一部隊ある。呼んだ後ならかなりきついがリザードマン達の助けがあればやれないこともない。
「残念ながら送る相手がいねぇよ」
「ふ~ん、そうか」
ディエゴの表情を見るに嘘はついてなさそうだ。
「タナカ殿!」
今度はリザールの呼ぶ声が聞こえた。
「どうした」
「こやつらは…いかがいたそうか」
リザールは同胞が捕えられている馬車を順番に解放していた。同胞に説明して、周囲の警戒や負傷者の救護など俺達では手が回らない事もしてくれている。
(ここはウルス隊の馬車だな)
馬車の中に捕らわれていたのはリザードマンではなく、ゴブリンや獣人など様々な亜人種達だった。
「とりあえず外に出そう」
鎖を外し、一人ずつ馬車から出す。
「大丈夫だ。俺達は味方だから。具合の悪い人や怪我人はいますか」
「タナカ殿…水はともかく食料がもう」
「分かった」
こんなことが分かっていればもっと料理を作って保存していれば良かった。幸い、ポーションは足りているようで助かった。マジックポーションで魔素を回復したドロシーも怪我人の治療を手伝ってくれている。
「よし、作りますか」
俺はエクストラポケットから食材を取り出してスキル想像力で野菜たっぷりのスープを作成した。出来ればスキル無しの物を食べさせたかったが今は時短を優先した。
本来は二月中に上げる話でした。




