外伝5 案ずるより渡すが易し
前回ヒロシが気付いた目線はラウラとケビンの物でした。
ケビン・スノーマン一行、パーティー ライオンハートがブィンドに戻る数日前、ラウラ・バークドックは装備屋アナグラにいた。
「てことで、この防具お願いね。おやっさん。」
そう言ってラウラは真っ黒のライトアーマーが入ってる木箱を装備屋アナグラの店主、コンラット・アンバーに渡した。この職人気質なおじさんは名前とは別におやっさんという愛称でよく呼ばれる。
「わかったよ。これをヒロシのあんちゃんに売ればいいんだな。まったく回りくどいことするねラウラも。」
「ええ。しょうがないでしょ、そのまま渡しても多分ヒロシ受け取らないと思うし。」
「で、値段はどうする。タダで売るわけにもいかねえだろ。」
「そうね。金貨1枚くらいだったら払えると思うから。金貨1枚でどうかしら。」
「金貨1枚ね。安すぎやしないか。そんくらいあんちゃんにもわかるだろう。」
「そこはおやっさんの優しさってことで。」
ラウラはサムズアップする。
「いや、グーサインされても。まあ中古とわしからのサービスってことでどうにかするしかないか。んじゃあ、ほい金貨1枚。」
おやっさんは頭を掻きむしると金貨1枚をラウラに渡す。
「いいわよ、おやっさんには昔からよくして貰ってるし。それに、これはケビンさんが若い時に使ってた防具だし。」
ラウラは受け取るのを断った。
「へー。これをあのケビンが使ってたのか。てことはこの事ケビンは?」
「もちろん知ってるわ。そもそもこれはケビンさんからの提案だし。」
「ケビンも後輩の事をよほど心配と見える。がははは。」
おやっさんは大笑いした。
そして今、ラウラとケビンは装備屋アナグラの外からヒロシの事をのぞいていた。実はラウラは冒険者ギルド総括会からヒロシが出てくる時から追けていた。ケビンも室長との用事が終わり1階に降りた所でラウラと合流したのだ。
ライトアーマーを装備して店奥の鍛冶工場からヒロシが出てくる。
(なんか変なおっさんと合ったりしてたけど無事装備を買えたようね。)
(お!おやっさん、装備にサンダーバードの紋章を入れてくれているではないか。)
そんなこんなをラウラとケビンが考えているとヒロシがぱっと後ろを向いた。ラウラとケビンは思わずサッと隠れる。
(危なかったわ。アドバイス通り索敵アビリティを取ったみたいね。)
(これで、いきなりそこらのチンピラに襲われることはないだろう。)
後輩の成長に先輩の2人は喜んでいた。
外伝書くの楽しい。次回はメインストーリーです。