第二百四十七話 「ハハハ、これはまいった。ゴホゴホ…大ピンチじゃねぇか」
今月第三話。
ボトボトボトリ
剣と盾に薙ぎ払われたポイズントカゲ達が沼に沈んでいった。これが騎士アビリティリベンジの威力か。
アビリティリベンジは戦士職、騎士職など前衛職のアビリティだ。効果は30秒間に自身が受けたダメージに比例して一時的に自分の攻撃力が上昇する。
コールで注意を引き、ウォールなどで防御力を上げる。最後にリベンジで上げた攻撃力で相手を倒す。理想的な壁職のアビリティコンボだ。
「たく、とんでもないな」
「いつまでもおいしい所を譲る気はないっすよ」
沼地での戦いは順調に進んでいった。そろそろ討伐数に達する。
(これなら問題なさそうだな。もう少し時間が掛かると想定していたが思ったよりも早く終わりそうだ)
「よし、霧もでてきたし討伐数も十分だ。解体して撤収しよう」
いつの間にか辺りに霧が出始めていた。これ以上濃くなると帰りが危ない。
「うす…ゴホゴホ」
「どうしたジャック?」
ジャックが咳と共に沼地に倒れた
「ジャック!…ゴホ」
(おいおい、この霧もしかして)
「ステータス!」
やっぱり毒状態になってやがる。怪しいのはどう考えてもこの霧だ。
近くを見ると足場にいたドロシーが倒れ伏していた。
「ッチ、ドロシー大丈夫か」
近くの蜥蜴を蹴り飛ばし、ジャックを少しでも安全な足場に運ぶ。
「ハアハア」
「ゴホ…ヒロシ…この霧やばいわ」
「ああ、とりあえず2人とも毒消しとポーションを飲んでくれ」
毒耐性を持っていた俺にも毒状態になっていた。いつの間にか俺達は何者かの毒霧に襲われていたようだ。
「ゴホゴホ…ヒロシ毒消しでも毒状態が消えないっす」
「!」
最悪だ。用意していた毒消しでは効果がない毒にかかっていた。つまり、ポイズントカゲの毒ではなく、別の魔物の毒にかかっている。幸い完全に効果がないわけではなく少しだが毒が回るのを遅れさせることは出来ているようだ。幸い、毒耐性を持っていた俺だけがまだ軽傷で済んでいる。3人の中で動けるのは自分だけか。
ドシンドシン
「なるほど、この霧はお前の仕業だったわけか」
沼地の奥からゆったりと現れたのはポイズントカゲの3倍はある巨大な白蜥蜴だ。
(ポイズントカゲのアルビノ?それとも亜種か)
ポイズントカゲは群れで生息する魔物だ。群れのリーダーは体格が大きい個体がなりやすい。巨体で沼を振動させ、ポイズントカゲを従えながら歩む姿はまさに蜥蜴のボス。
目の前にいる大蜥蜴は体格が大きいという話ではなくまるで別の魔物のようだが、鼻と口から毒霧が漏れている。
完全に相手はこちらを補足している。周りは手下のポイズントカゲ達に囲まれている上に仲間2人ともまともに戦える状態じゃない。
「ハハハ、これはまいった。ゴホゴホ…大ピンチじゃねぇか」
今日はもう1話投稿する予定です。