第二百四十五話 「ありがとう2人とも大切に使うわ」
今月第一話。
5月20日 18:00
ブレーメン地方 ウエストエンド ハンバーグハウス
俺達はウエストエンドの大通りにあるレストラン、ハンバーグハウスを訪れた。久々にプロの飯が食べられる。
「はい、そうです。メインを食べ終えた頃に運んでもらえませんか。…ありがとうございます」
俺は店員と段取りの確認をしてから席に着いた。
「店員さんと何話していたの?」
「ん?いや、トイレの場所を聞いていただけだ。それより、どうする?」
「俺はこのレイジブル100%ハンバーグにするっす」
この世界にもハンバーグがあったのは驚いた。ちなみにチーズやソースなどトッピングも豊富でこの町1番の人気店らしい。
「それじゃあ、俺もそれとトッピングに卵焼きをつけたもので」
「あたしはジャックと同じものにするわ」
飯は大満足の美味しさだった。ハンバーグはジューシーで噛んだ後に肉汁が口いっぱいに飛び散るほどで付け合わせの野菜も甘く、野菜があまり得意でない俺も十分食べられた。
(ブィンドに支店出してくれないかな)
ハンバーグは素材さえあればそこまで手間な料理ではないがやはりプロが作るものだと全然違った。
「さてと…そろそろかな」
「え!」
店員にアイコンタクトで合図して用意していたケーキを運んでもらった。
『お誕生日おめでとうドロシー』
「お誕生日おめでとうございます」
俺とジャック、そして周りの店員達で誕生日を祝った。ちなみに誕生日はヘンリーさんに教えてもらった。
「知っていたの?」
「ああ、すまないな。数日遅れて、予定では誕生日には既にこの町に着いていたんだが少し遅れた」
ドロシーの誕生日は5月17日、3日前だ。野宿で祝うよりもレストランでちゃんと祝いたかった。
「ううん、2人ともありがとう」
この世界にも当たり前に誕生日はあった。歌の風習は無かったが蝋燭の火は吹くらしい。
「それじゃあ、願い事をしてから火を吹いてくれ」
「ええ、…フウー」
クエスト中などタイミング的に難しい場合もあるが出来るだけ仲間の誕生日は祝おうと思っている。
「後はこれ」
俺とジャックはプレゼントボックスをドロシーに手渡した。
「これって…水筒?」
「ああ、今使っているものは少し小さいだろ。これなら多く入れられる」
「俺からは砥石っす。これで使っている短刀の手入れをするっす」
誕生日プレゼント選びが1番悩んだ。アクセサリー類はレベルが高く、香水等も好みがあるため無難に日用品や冒険者必需品に行き着いた。
「ありがとう2人とも大切に使うわ」
ドロシーの誕生日、異性へのプレゼントって悩みますよね。