第二百四十二話 「ええ、そ・れ・よ・り何かいう事はないの?」
今月第一話。
ある日の夜
風呂上がりの俺は自室で自身のステータス画面とにらめっこしていた。
(洞窟での連戦で結構レベルが上がったな)
次のクエストも決まりそろそろレベルポイントの使い道を考えようかな。ちなみに現在のレベルは36、レベルポイントは5つ残っている。
「う~ん、悩むな~」
スキル変り者のおかげで習得できるアビリティが多い。毎回この時間が楽しくもあり悩ましくもあった。
(けど、今回は数個取るべきアビリティがある)
先にアビリティ一覧からそのアビリティを探し、レベルポイントを使った。
最初に選んだのは毒耐性だ。次のクエストは沼地でのポイズントカゲの討伐。当然、毒消しは多めに用意はしているが万が一のこともある。
(状態異常耐性系はいずれ取るつもりではあったから丁度いい機会だ)
あとは今持っているアビリティを強化しよう。強化したのは脚力と解体、薬剤知識の3つだ。理由はスピード上げと時間の短縮化、最後の薬剤知識は念のためだ。最後の1ポイントは緊急時に残すことにした。
先日のジルさんとの話で最悪の場合現地で素材を採取して、薬を生成する必要もあるかもしれない。
(ジルさんの忠告は自分の経験からだからな。より説得力がある)
5月15日 8:00
ファミリアサンダーバード 玄関
「それではいってきます」
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
エイラさんはいつも母親のようなお見送りをするな。
「確か西部の沼地だったな。沼地は足を取られやすい油断するな」
「はい!」
この5日間で準備できることはした。壊れたテントと調理器具の代わりも買った。必要なアイテムも補充した。預けていた弓も引き取った。
目標はシャルル王国西部、その後ジャックの故郷ズーク王国に向かう。いよいよシャルル王国の外に冒険へ出るのか。
集合場所のブィンド西門には既にジャックとドロシーが揃っていた。
「お待たせ」
「おはようっすヒロシ」
「いよいよ…ね」
ドロシーにとって前回のブィンド大洞窟が初の冒険だったが距離的にはそこまで遠くなかった。本当の冒険は今回が初となる。
「ああ、クエストも油断しなければ俺達なら問題なく対処できるレベルだ。まずは楽しもうぜ」
「ええ、そ・れ・よ・り何かいう事はないの?」
ドロシーは着ているローブを少し広げて見せてきた。
(ああ、新しい装備を見せびらかしたいのか。気持ちは分からなくもない)
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。