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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
中級冒険者編
295/386

外伝49 毒を以て毒を制す

今月第三話。

装備屋 アナグラ

「おやっさん~いる?」

 俺は洞窟で手に入れた弓を見てもらうために装備屋アナグラを訪れた。

「おお!あんちゃん」

 店奥の工場からおやっさんが出てきた。

「これ見てもらいたいんだけど」

 俺はエクストラポケットから貫通弓を取り出した。

「これはまたずいぶん古い弓だな」

 俺は弓を手に入れた経緯をおやっさんに説明した。

「なるほどな。確かに弓には貫通効果の付与魔法が刻まれておる。この弓の持ち主は中々の腕前だったようだな」

「まだ使えそうか」

「もちろんだ。修繕と調整に時間はかかるがまだこの弓は死んでおらん」

 俺は5日後に取りに来ることを約束して弓をおやっさんに渡した。


薬屋 ボン・サンス 調合室

 次のクエストであるポイズントカゲ対策のため俺はジルさんから毒消し作りを教わっていた。幸いにポイズントカゲが持つ毒はそこまで強くはなく通常の毒消しでも効くらしい。

 それなら薬剤師の最低限のアビリティしか持っていない俺でも作れる。

「いや~、嬉しいねヒロシ君がこんなにも薬について興味を持ってくれて、あ、そこはもう少し細かくした方がいいかな」

「はい!いえいえ俺は出来る事をしているだけです。こちらこそ毎回調合室を使わせてもらってすみません」

 毒消しの素材であるメデックダケを粉塵になるまですりつぶす。アビリティがあればこういう工程も楽できるだろうが持っていない俺は人力でやるしかない。

「いいんだよ。話は変わるけど最近デルちゃんはどう?」

「だいぶ落ち着いています。ファミリア内なら自由に動けるくらいには」

 リタの妹、デルにはジルさんが特別に処方した薬を取り寄せている。

「…そうか、すぐに効果が出るような薬があればよかったんだけどね」

「いえいえ、リタが言っていましたあんなに元気な妹を見るのは久しぶりだって。あ、どうですかこれ」

 俺は出来た薬をジルさんに手渡した。

「お、出来たかい。どれどれ、うん鑑定結果も毒消しだね。これならポイズントカゲの毒に対しても問題ないだろう」

「よし!じゃあ、次はマジックポーションを教えてください」

「ハハハ、ヒロシ君そんなに焦らないで調合はゆっくり確実にだ。少し休憩にしよう」

 

 それから基本的なマジックポーションの調合方法も教えてもらった。

 帰り道、俺は調合室でのジルさんとの会話を思い出していた。

「これでヒロシ君は基本的な毒消しとマジックポーションの作り方を学べたと思うけど1つだけ忠告させてくれ」

 ジルさんはいつもより真剣なまなざしで話した。

「薬剤師の僕が言うのもなんだけど薬を信じすぎてはいけない。今日教えたのは弱い毒性にしか効かない薬だ。猛毒や特殊な毒を持つ魔物もいる。僕の店でも出来る限り多数の毒消しを用意しているけどそれでもまだまだだ」

「未知な毒を持つ魔物もいるかもしれないってことですか」

 この世界で何種類の魔物が存在しているかはわからない。中にはまだ発見していない毒を持つ魔物もいるだろう。

「ああ、その通りだ。だから、冒険する際は出会うかもしれない魔物をしっかり調べ、どんなアイテムが必要になるか対策をしてくれ」

「はい。でも、もし未知の毒にかかってしまった場合は?」

「…もし、持っていた毒消しでも効果がない場合はその場で対処するしかない。魔物の中には自身の毒を中和する器官を持つものもいる。大抵の場合はそれが毒消しの素材の1つだ。1番は猛毒を持つ魔物を見かけた場合は逃げることだけどね」

今日はもう1話投稿します。

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