第二百三十六話 「ああ、よくやった。お疲れ様、少し休みなさい。夜は宴会だ」
今月第五話。
ブィンド 門前
5月1日 16:00
ブィンドを出てからそれほど日数が経っていないはずなのに懐かしく感じる。
「フ~、やっと帰ってこれたっす」
連戦と冒険の疲れが残っているので各々ブィンドの門で別れ、後日集まることにした。
「ヒロシ・タナカ、お前達ならきっと中級でもやってける。人数がいる時は声をかけろ」
「ああ、ありがとう。知っているかもだが、いい鍛冶師が必要な時は大通りにある装備屋アナグラに行ってみな」
ヴァンレンスとレイルと軽く手を叩き、別れた。
(冒険者として初めて他のパーティーと共闘したが悪くないものだな)
ファミリア サンダーバード
「ただいま~」
落ち着いた我が家に帰ってきて気が緩んだせいか脚から力が抜ける。
ダダダ
「おかえりなさ~い!」
すごい足音と共にキッチンのドアが開きエイラさん達、ファミリアの皆が出迎えてくれた。
「話は聞いたーぜ。すごいじゃないかブィンド大洞窟深層攻略」
「!」
やはり洞窟の事は皆の耳にも届いていたようだ。
「うむ、流石だ。昔、わしらも深層を攻略するために探索をしていたことがあったのだがな」
「結局見つけられなかったのよね。まさか、ヒロシ達に先を越されるとは。初の完全攻略じゃない」
「ハハハ、後輩の活躍で喜ぶのは良い事だがその辺にしてやれ。ヒロシ君も疲れているだろう」
ケビンさんの声で皆の勢いが収まった。
「ケビンさん、しっかりと皆を連れて帰ってきました」
「ああ、よくやった。お疲れ様、少し休みなさい。夜は宴会だ」
その晩、言葉の通り宴会が開かれた。エイラさんのごちそうを久々にたらふく食べ、ファミリアの皆と深層攻略について語った。
5月8日 8:00
そして、ブィンド大洞窟の冒険から七日経った。この間色々なことがあった。
まずはシモン支部長からクエストのレポートを出来るだけ早めに出してほしいと言われ。俺は数日間レポート作成に追われていた。たった数日の冒険だが書くことが山ほどあった。おかげでレポートは大学で書いたエッセイ並みの量になった。
そのおかげか支部長は報酬に色を付けてくれた。金貨二十枚、一人金貨五枚の報酬となった。深層の宝を足すとかなりの金を手に入れた。これでドロシーの装備と新しいテント、料理器具も買える。
家に着くとやっぱり安心する。