第二百七話 「武器よし、防具よし、薬よしっと」
今月第三話。
4月27日 9:00
飲み屋 ならず者
「…やっぱりか。ありがとうマスターお代はここに置いとく」
ファミリアの皆に告白した次の日、俺はギルドに現状のレポートを提出した。その後、情報を買いに飲み屋ならず者を訪れていた。
情報の集め方はいろいろあるが正攻法では集めにくいものの場合は飲み屋を使っている。ここのマスターは情報屋も兼業していて値段はギルドより少し高くつくが幅広い情報を扱っており、信憑性も高い。
(ここはルイスさんに教えてもらったんだけど)
4月27日 15:00
(いろいろ買ったな。まあ、余ったらエクストラポケットに保存しておけばいいか)
帰りに大洞窟のセカンドアタックに備えるための物資を買った。
「それでは失礼します師匠」
「その呼び名はよしてくれと言っているだろう」
「しかし、俺にとって師匠はいつまでも師匠なので」
ファミリアから高身長で爽やかな男性が出てきた。
「おっと、失礼」
男は俺にぶつかりそうになった所を軽い身のこなしで避け、俺の横を過ぎ去って行った。
(お客さんか。でも、確かあの男って)
俺には男に見覚えがあった。金髪にあの身のこなし、青いライトアーマーに背中に携えていたあの弓。
「おかえり、ヒロシ君。明日への準備は順調かな」
「あ、はい。それより今の」
「ああ、エウリュ君に出くわしたか」
やはりあの男性がエウリュ・カウバーンだったか。ブィンドを拠点にしているギルド、オルトロスのギルドマスター。そして、ケビンさんと同じAランク冒険者。
「先日の彼のギルドメンバーと君達が揉めた件について謝罪してきたのだよ」
「相変わらず真面目というか律儀な男だよな」
いつのまにかルイスさんが俺の後ろに立っていた。
「あの、オルトロスのギルドマスターとケビンさん達の関係って」
「うーん、昔一時パーティーを組んだ事があるだけだ」
「懐かしいな。あん時はまだ駆け出しの頃だったけな」
(ケビンさん達とオルトロスのギルドマスターがパーティーを組んでいた時期があったなんて)
「彼はみるみるうちに実力が出てすぐに独立したがな」
「弓は昔から一流だったからな」
エウリュ・カウバーンの早打ちは冒険者の中でも有名だ。弓の腕だけなら冒険者トップクラスらしい。
「今やこの町を拠点にする巨大ギルドのギルドマスター…か」
4月27日 夜
「武器よし、防具よし、薬よしっと」
俺は冒険に向けてアイテムと装備の点検をしていた。手入れなどは日常的に行っている事だがこうやってじっくり時間を取って準備することは少なくなっていた。
準備は万全。大洞窟内部の環境もよく分かった。パーティー内の不和さえ解決出来れば攻略出来るはずだ。
明日はサプライズを用意していますのでお楽しみに。