外伝42 焦りは禁物
今月第七話。
俺は女神に異世界に転移させられたこと、元居た世界へ戻るために冒険者になったことなどを告白した。
「そうか。元居た世界には家族と友がいるのか」
「…はい。時間が掛かっても帰りたいです」
転移してもうすでに一年。成果はほとんどないが諦めたくない。
「分かった。私も出来るだけ協力をしよう」
「いいんですか?」
「当たり前だ。ファミリアの仲間は家族も当然。困ったことは助ける」
ケビンさん達は知り合いに当たると言ってくれた。しかし、女神が人間を転移すること自体聞いたことがないらしく。情報が見つかるかは分からないらしい。
教会の方も十二神に交信できる者となると上層部等限られた人達になるらしい。僧侶であるエイラさんでも上層部までのパイプは持っていなかった。
「空間魔法と召喚魔法…か」
どちらも少し特殊な魔法で使える魔導士は多くないとのこと。特に空間魔法が使える魔導士はかなり少数らしい。
「ヒロシのスキル変わり者なら確かに習得できる可能性は高いでしょうけど。やっぱり異世界転移級は一人の魔導士で扱える魔素量では無理ね」
ラウラさんとエイラさん、ミャオさんでも異世界転移については難しいという結論だった。
「勇者の話は私も聞いたことあるけど。昔の話だから本当かどうかも分からないわ」
ミャオさんの話だと勇者一行は実在した人物達らしいが話が突飛すぎて、どこまでが事実なのかは分からないらしい。
(俺達の世界でも歴史は歪んで伝えられていることもあるからな)
実際に起きたことは当人たちのみ知ることだ。
「魔法については可能性があるかもしれない。学園に行けばだけど」
西大陸にある魔導国ウィザリアには魔導学園が存在する。魔法の才ある若人が魔法を学ぶ場だ。
「とりあえず、有益な情報が見つかったらヒロシ君に伝えるわ」
「皆さんありがとうございます」
当面は変わらず冒険者を続けながら情報を集めるしかない。
(焦ってもどうしようもないしな)
ずっと隠していた事を皆に告白できたからかその晩はぐっすりと眠れた。
2月にしては良くあげた方だと思います。