表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
中級冒険者編
251/386

外伝41 異世界の出会いは一期一会

今月6話目。

ある日の早朝

ファミリア サンダーバード 庭

「それで、こんな朝早くから私達を集めて何の話かしら」

 昨日の夕飯時、俺はファミリアの皆に早朝庭に集まってほしいと伝えた。

(ケビンさん達も揃っているし告白するなら今しかない)

 拒絶されるかもしれないと考えるだけで昨日はあまり眠れなかった。

「本日は集まっていただきありがとうございます」

「どうしたヒロシ君そんな改まって」

「フウ~、炎初級魔法ファイヤーボール」

 深呼吸で緊張を和らげてから魔法を発動した。

『!』

パン

 俺は右手を真上に伸ばし、空高くに炎の球を放った。威力は最小限、ちょっとした破裂音がする程度に収めている。

 これで皆にも明らかになったはずだ、俺がスキルを持っていることが。

「皆さんに一つ謝らなければいけないことがあります。俺は記憶喪失ではありません。異世界から来た人間です。今の魔法もセロに転移した際に入手したスキルの効果で習得できたものです」

 俺の告白の後、静かな空間がそこにはあった。

「…そうか。記憶喪失ではなかったのか。それは何よりだ」

 静寂を破ったのはケビンさんの意外な一言だった。

「…俺は皆さんを騙していました。嘘を…ついていました」

「分かっている」

 気づいていた。どこがでは分かっていた。

「俺はこの世界で生まれた人間ではないんです」

「ああ、何も問題ない」

 この人達が何も言わず待ってくれていたことに。

「おれば…おでば」

 涙が止まらない、鼻水も。さぞみっともない顔をしているのだろう。

「大丈夫だ。よく、よく話してくれた」

 ケビンさんは俺を強く抱きしめ、背中を優しくさすってくれた。

 ラウラさんがハンカチを貸してくれた。

 ルイスさんとエースさんは背中を優しくさすってくれた。

 ミャオさんとリシンさんが何度も大丈夫だと繰り返してくれた。

 キッドさんは大声で笑ってくれた。

 エイラさんはホットコフィを淹れてくれた。

「大丈夫だ。ヒロシ君がどんなスキルを持って、どのような出自でも。何があっても君はファミリアサンダーバードのメンバーだ!」

「ありがとうございます!」

 この世界に来て家族にも友人にも会えない、元の世界に戻る方法もまだ定かじゃないけどここでの出会いはすごく恵まれていると思う。

遂にファミリアの皆にも告白。

出会いに恵まれていることが1番の救い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ