第百九十八話 「な、なんだお前ら!」
今月第五話。
三人で選んだのは調査クエストだった。調査場所はブィンド大洞窟、内容は洞窟の魔物生態、数、環境など諸々。調査途中で倒した魔物の素材等取得したものは自分達のものになる。
報酬は一日金貨三枚、調査内容をレポートにして提出する必要がある。難易度Dランクのクエスト。調査日数と調査内容が比例していないと報酬が削られるか最悪無報酬の事もある。
(レポート作成はめんどくさいが一日あたりの報酬は悪くない)
ブィンド大洞窟はその名の通りブィンド近辺にある洞窟で上層、中層、下層と大きく三層に分かれている。大洞窟の中はかなり入り組んでおり、地下数十メートルもあるらしい。
生息する魔物も地下に降りていくほど強力なものが出現する。
(上層だけならEランク程度だが総合的な魔物の強さでDランクにしているのだろう)
クエストだけを見るとダンジョン攻略のようだ。セロにはダンジョンと呼ばれる建造物がいくつか存在する。神々が気まぐれに作った“試練”を攻略すると富、名声、力の全てが得られるらしい。
(セロの神々は試練がよっぽど好きのようだ)
「じゃあ、あたし受付に行ってくるね」
ドロシーはウキウキで依頼書を片手に受付に向かっていった。
「ジャック俺達はこっちだ」
俺はあごでギルドのショップの方を指した。
新しい所に行くにはその場所の地図が必要だ。
「おまたせ、あれどうしたの二人とも落ち込んで」
「いや、何でもない。無事クエストも見つけられたし。それじゃあ今日は帰るか」
俺とジャックが落ち込んでいたのは購入した地図がブィンド周辺の地図で、目当てのブィンド大洞窟内部の地図は高価で買えなかったためだ。
(クソ、洞窟の内部は白紙から自分達で地図を作っていくしかない)
大洞窟調査は明日からにして今日は英気を養うことにした。
「このドチビ、何逃げてんだよ!」
「おら!さっさと出せこのチビ。ふざけたことしやがって」
ギルドからの帰り道、俺達は路地裏で冒険者達にいじめられているローブ姿の少女を見かけた。少女だと分かったのはシルエットからだ。
(たれ耳に犬のような尻尾。獣人か)
「どうするっすかヒロシ」
ジャックは俺に尋ねているがすでに手は片手直剣の柄を掴んでいた。
様子を見るに少女は冒険者達の仲間のようだ。これは仲間内でのもめごとであり、他人があまり口だししていいものではない。
「おい、カバンの中身もよこせ!」
「!これは勘弁してほしいデス」
「てめえいいかげんにしろ!」
男は獣少女から無理やりかばんを奪おうとする。このままだと男達は身ぐるみはがす勢いだ。
(これはさすがにひどいな)
「ちょっと、あんたたち何女の子いじめているのよ!」
俺達が飛び出す前にドロシーが先に出て行った。
「あ、おい!」
ドロシーを止める形で俺達も物陰から出た。
(支部長から注意されたばかりなのに。だが仕方がない)
「な、なんだお前ら!」
小説は時間があるときに書くのが1番。