第十七話 「承知いたしました。では、手続きが終わり次第お呼びいたしますので、この番号札をお持ちになってお待ちください。」
やっと冒険者になれた。
冒険者ギルド総括会、通称ギルドのブィンド支部はブィンドの中央に位置する。2階建ての石造家屋で1階は各用の受付とクエストが張られているボードがあり、2階には支部長室と応接室がある。外から見てもかなり立派な建物だ。冒険者ギルド総括会は西大陸、東大陸両大陸の冒険者を統括している組織だ。各町や村に支部が置かれ冒険者は近くにある支部でクエストを受ける。冒険者に依頼したい時は近くにあるギルドで依頼できる。支部には支部長が居て支部長は引退した有名な冒険者がなっている事が多い。又、冒険者ギルド総括会の本部は東大陸にある帝国の帝都にあるらしい。そして、冒険者ギルド総括会の最高意思決定機関は5大ギルドの5人のギルドマスターが就任している。5大ギルドは東大陸、西大陸で絶対的な力を持っているらしく所属冒険者数、実力も他のギルドとはけた違いらしい。5大ギルドの内の3つは西大陸、2つは東大陸に本拠地を持っている。しかし、傘下のギルドは両大陸に点在しているらしい。支部を作らないのは冒険者ギルド総括会のルールがあるからだ。1つの村や町につき本拠地にできるギルドは1つだけというルールだ。これは、ギルド間での縄張り争いを防ぐためだ。
(まあ。まだまだ新米冒険者の俺にとっては雲の上の存在だな。)
「結構な人がいますね。」
まだ朝なのに1階の受付には列が出来ていた。
「そうだな。冒険者受付のカウンターはここのようだな。裕君はここに並んで冒険者登録を済ませたまえ。私は支部長に用事があるので2階に行ってくる。少し時間がかかるかもしれないが待つか?」
「あ、そうなんですね。俺は登録終えたら装備屋に行くつもりです。」
「そうか。気を付けて行くんだぞ。」
「はい。ありがとうございました。」
ケビンさんは右手を挙げて俺の礼に答えながら、奥にある階段に進んでいった。すぐに案内役の職員がケビンさんの所へ駆けつけてきた。案内役以外にも数人の冒険者たちがケビンさんに気付いて話しかけたり遠くから見てたりしている。
(やっぱり。上級冒険者のケビンさんは注目されるんだろうな。)
10分くらい列に並んでいると俺の番が来た。
「遅くなりまして申し訳ございません。今日はどのようなご用件でしょうか?」
すごく丁寧な受付嬢が対応してくれた。髪はピンクで長髪、顔も整っていて美人だ。歳は20代前半くらいかな。
「冒険者の登録をしに来ました。」
「承知いたしました。冒険者登録は初めてですか?」
「はい。」
「そうですか。では、この書類に記入をお願いいたします。横に米印が書かれている欄は記入が必要となられています。」
俺は差し出された書類に記入していく。米印があったのは名前と職業の欄だけだった。俺は年齢と所属ファミリアの欄にも記入した。
「書き終わりました。」
書き終えた書類を受付嬢に手渡した。
「承りました。冒険者ランクはどういたしましょう?ランク試験を受けますかそれともHランクからにしますか?」
冒険者にはS、A、B、C、D、E、F、G、Hの9つのランクがある。S、A、Bは上級冒険者、C、D、Eが中級、そしてF、G、Hが下級冒険者だ。
(やべ。試験あるのかよ。どうしよう。)
「もし、戦闘経験があまり無ければHランクから始めるのをおすすめします。」
俺が少し悩んでいると受付嬢が丁寧に提案した。
「分かりました。じゃあHランクからでお願いします。」
俺は受付嬢のアドバイス通りに最低ランクのHランクから始めることにした。
「承知いたしました。では、手続きが終わり次第お呼びいたしますので、この番号札をお持ちになってお待ちください。」
俺は番号が書かれている紙を持って少し離れている所にあった長椅子に腰かけた。
これから少し説明が多くなると思います。