第百九十四話 「はい、ありがとうございます」
今年1本目。
クエスト探しは次の日にして、ドロシーをファミリアサンダーバードへ案内した。
ファミリアの皆にはドロシーを連れてくるのは事前に伝えてある。ケビンさん達が帰ってくるまで待ってもよかったが軽く案内してもいいだろう。
「ここが俺とジャックが所属するファミリアサンダーバードだ」
ファミリアの中に入り皆にドロシーの事を紹介した。
「皆さんこちらが新しく仲間になったドロシーです」
「そしてこっちがパーティーブレーメンバンドの皆さんだ。右からラウラさん、エイラさん、エースさん、キッドさん」
お互い軽く自己紹介を済ませた。ドロシーは少し緊張しているように見えた。
(それもそうか。今日はたくさん初対面の人達に会ったからな)
「よろしくねドロシーちゃん。ところであいつら迷惑かけてない?」
「もし、ヒロシ君とジャック君が何かしたら私達に行ってね。二人とも優しいから変なことしないだろうけど、ね!」
最後の〝ね″にエイラさんの圧がこもっていた。
「はい、もちろん!」
「もちろんっす!」
一般的に男女でパーティーを組むとそういった問題が起き易いらしい。
(強い信頼関係と実力を知っていれば手を出そうなんて思わないだろ)
「そう、それはよかった。私なんて何回エースを吹き飛ばしたか」
「いや、ハハハ」
エースさんはぶるっと震え、渇いた笑みでごまかしていた。
「とりあえず、戦闘に置いて一番重要なのは魔素量の把握よ」
「なるほど」
ドロシーは教えてもらったことを丁寧にメモに書き記している。
(ああ見えて結構真面目なところがあるんだよな)
「自分があとどれくらい魔法を使えるのか詳細に頭に入れておくと良いわ」
「それには一度限界まで魔法を使ってみるといいわね。もちろん練習でね」
すっかり仲良くなった女性陣はお茶と茶菓子を片手に魔法について語っている。
(なんで女子ってすぐに仲良くなれるのだろう)
ガンカンドン
庭ではジャックとキッドさんが軽く運動していた。
「ヒロシは体動かさねーの」
エースさんは二人分の果汁ジュースを持ってきて隣に座った。
「ありがとうございます。俺はいいです。今日は体を休める日なんで」
エースさんからジュースを貰い、庭の二人を眺めながら飲んだ。
「そーか」
「んじゃあ、また明日っす」
「明日はいよいよ儀式か。ドロシーと二人で教会に行くよ」
「そうね、そのあとギルドでクエストを探しましょ」
帰り際、ラウラさん達が玄関まで見送りに来てくれた。
「ドロシー、何か困ったことがあったらいつでも言って」
「また、皆でお茶会しましょ」
「はい、ありがとうございます」
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします