第百九十三話 「そうっすね」2
今月6話目。
「ウー、こってり叱られたっす」
ドロシーと短刀を選んでいる間、ジャックは店奥でおやっさんに叱られていた。
「でも、新しい盾を買えたんだろ」
「うす、おやっさんおすすめを買ったす。少し調整してから家まで届けてくれるらしいっす」
新しい盾を手に入れたジャックは嬉しそうだ。
(新しい装備を早く実戦で試してみたい気持ちは分からなくはない)
次に訪れたのは装備屋アナグラの向かいにある薬屋ボン・サンスだ。
カランカラン
「いらっしゃいませ」
「お久しぶりですアリエットさん」
アリエットさんはポーションの品出しをしていた。
「あら、ヒロシ君とジャック君じゃない。あれあなたは…」
「新しく仲間になった。魔導士のドロシーです」
「はじめましてドロシー・セビュロスです」
ドロシーは一歩前を出てアリエットさんと握手をした。
「そう、あなたが」
「お、久しぶりだね君達」
奥から白衣姿のジルさんが出てきた。
(さっきまで薬を作っていたのかな)
ジルさんが近づいてくると少し薬のにおいがした。
「ここには多種多様な薬が揃っている。奥には実験室があって俺もたまに使わせてもらっている」
ドロシーに簡単に薬屋の説明をした。
「へー、じゃあジルさんがヒロシの薬の先生ってこと?」
「そういうことになるな。ジルさんまた今度薬について教えてください」
「ああ、いつでも来なさい」
俺達はポーションの補充をして店を出た。自作のポーションは大量にあるがポーションはどれだけあっても困らないものだ。
このままマリナス商店に行きドロシーの装備を探そうとも思ったのだが道中いいにおいがするお店があったので、行く前に腹ごなしをすることにした。
(腹が減ってはなんとやらだ。それにしてもいいにおいするな)
正体は肉まんだった。その外にもチャーハンや麻婆豆腐のような料理などがあった。
前通った時は無かったので俺達がブィンドを離れていた間にできた店なのだろう。
(なんか懐かしいな。この世界にも中華料理のようなものがあったのか)
たらふくご飯を楽しんだ俺達はマリナス商店に向かった。
魔導士の装備類はあったにはあったがなかなかの値段だった。即断では買えないお値段だったので俺達は一旦広場で落ち着くことにした。
「装備ってあんなに高いものなの」
戦士や剣士のようなありふれた職業ではなく、一応素質がないとなれないジョブではあるからな。
最低でも魔導士のローブと聖樹の杖は欲しい。どちらもシルバーランク、魔導士用の装備だ。
(合計で金貨十五枚。三人で出し合えば買えないわけではないが、ドロシーはどうしても最初の装備は自分で買いたいらしい)
「仕方ない。クエストをこなして金を貯めていくか」
「そうっすね」
できれば近場でいいクエストがあればいいのだが最低限の装備のドロシーに遠出は少し危険だ。それにまだブィンドでやることがある。
(どこか近場を攻略するか)
その後はマザーステイストや図書館などを案内した。
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