第百九十二話 「すみません」
今月第五話。
4月18日 10:30
ドロシーとのパーティー登録を終え、俺達はまず大通りにある装備屋アナグラに向かった。
「ここは俺達がよく使っている装備屋だ。もしかししたら魔導士の装備も売っているかもしれない」
カランカラン
「おはようっす、おやっさん」
「ん?おお!あんちゃん達か」
おやっさんはカウンターで新聞を広げていた。
「おやっさん紹介します。新しく仲間になった魔導士のドロシーです」
「よろしくお願いします」
ドロシーはぺこりと頭を下げた。
「おお!嬢ちゃんがあの」
「おやっさんドロシーのこと知っていたのか」
「いや、ライオネルって知っているか。あいつが昨日来た時に聞いてな。あいつが興奮交じりに新人の試験で久々の逸材に出会ったって言っていた」
ライオネルって確かドロシーの試験を担当していた獣人の教官か。
「ちょっ!あの獅子あたしの事言いふらしているの!信じられない」
ドロシーは顔を真っ赤にして地団太を踏んでいる。
「まあまあ、落ち着けって。別に悪口を言っているわけじゃないんだから」
危うく魔法まで放つ勢いだったので俺とジャックは急いでドロシーを宥めた。
「そうっす、ギルドの教官にそこまで褒められるなんて中々ない事っすよ」
「あたしは褒めて貰いたいわけじゃないの!」
「わかったから。おやっさんドロシーに合う装備とかないですか」
話の方向を変えてやり過ごそう。
「うーん、嬢ちゃんは魔導士って聞くし。短刀くらいなら進められるけどな。」
「魔導士用のローブとか杖とかは置いてないっすか」
「あのな、魔導士の装備は剣士や戦士とは根本的に違うんだ。あれはほとんど魔道具って考えた方がいい。まあ、ホウキやら魔導書のような本格的な魔道具もあるがとりあえず畑違いだな」
魔導士の装備はまた種類が違うらしい。騎士や戦士が使う剣や槍とはまた違うと言われればそうだと思う。
(ゲームによっては違う店で売っていることもあるしな)
「魔導士の装備になると子の町じゃあマリナス商店で扱っているはずだ」
マリナス商店かあそこは何でも扱っているな。
ジャックがおやっさんに用があったらしく。俺とドロシーはその間店に置いてある装備を見て回った。
「やっぱり、杖以外にも武器って持っていた方がいいかな」
「うーん、サブ武器くらいは持っていた方がいいかもな。短刀だったら持ち運びもいいし、俺でよかったら少し教えられる」
俺は棚に並んである数本を出してドロシーに勧めた。
「本当!じゃあ、短刀にしようかな」
「な!お前こんなボロボロにして」
「すみません」
奥ではジャックがおやっさんに叱られていた。
(盾の事だろうな。粉々になっていたからな)
クリスマス…