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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ドロシー・セビュロスとトリオ編
222/386

外伝38 思い立ったが吉日それ以外は凶日

今月第三話。

4月15日 8:00

 ジャックとヒロシがマンチキン村を旅立ってから約1時間後、私は起きた。鏡を見ると少し眼が腫れていた。

「おはよう、お父さん」

 養父のヘンリーは玄関先で花の手入れをしていた。

「おはよう、ドロシー。朝ごはんならテーブルに置いてあるぞ」

 テーブルには冷めないように蓋をされた朝ごはんが置かれていた。

「ありがとう。…彼らはもう行った?」

「ああ、先ほど皆に見送られて村を出たよ」

「…そう」

 私が黙々と朝ごはんを食べているとヘンリーは手を止めてリビングに上がってきた。

「コフィ飲むかい?」

 父はリビングを横切ってキッチンに向かい、カップを2つ取り出した。

「うん」

「はい、コフィ。熱いから気を付けるのじゃよ」

「フー、やっぱり父さんが入れたホットコフィは落ち着くわ」

 父はコフィを手渡し私の向かい側に座った。

「…ドロシー、本気で冒険者を目指しているのだね」

 少し間をおいてから父はゆっくりと確かめるように口にした。

「…ええ、いつか村を出て冒険者になるつもりよ」

「それは自分の生い立ちを調べるためか」

「!ゴホゴホ」

 育ての親に核心を突かれ、飲んだコフィが気管に入ってしまい咳き込む。

「お前が気付いていることは知っておった、自分の容姿を気にして、魔法で変えていることも。それでもわしを父親と呼んでくれることは素直に嬉しい。そして、自分が何者なのかを知りたい気持ちも分かる」

 父は確かめるように私の目をまっすぐに見ながら話を続けた。

「だが、冒険者は想像以上に過酷だ。外に出ればこれまで以上の危険に遭うかもしれない。その覚悟があるならわしはもう止めない。それに…彼らなら安心して任せられる。彼らは本来のお前の姿も受け入れてくるさ」

「お父さん」

「玄関先に旅に必要になるものを用意している。昔わしが使っていたもので悪いがまだ使えるはずじゃ」

 父は玄関の方を指さした。そこには使い古された鞄が置いてあった。

「…でも、お父さん腰は…」

「わしの事は心配せんでもいい、こう見えても元冒険者じゃ。それに村の皆もおる。思った時が吉日、ほら旅立つ」

 父は言いたいことを言った後私を玄関まで急き立てた。

「…それに今から追いかければ彼らに追いつくかもしれん。彼らはブィンドにあるファミリアに帰ると言っておった」

 急き立てられた私は急いで荷物を持ち、家を出た。

「お父さん今まで育ててくれてありがとうございます」

「たまにでいい、手紙を送ってきなさい」

「はい。いってきます!」

 赤い目からまた涙が零れ落ちる。

「いってらっしゃい」

旅たちは唐突に。

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