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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ドロシー・セビュロスとトリオ編
219/386

外伝37 コブログ

今月第六話。

 俺達はシャルル王国の山奥にあるゴブリンの村で特異個体として誕生した。しかし、特異の方向性は正反対だった。ホブの方は一般ゴブリンの2倍くらいの体格だが知能が低かった。対して自分は体こそ一般的なゴブリンとさほど変わらないが高い知能を持っていた。

 集団で生活をする者達にとって特異な存在はそれだけで警戒され、疎外される対象になってしまう。生まれてほどなくして俺達は集落から孤立した存在になった。いくら知能が高くてもその意図が通じなければ分かってもらえない。身体的に優れていても意思疎通が出来なければ気味悪く感じられてしまう。

 集落から浮いた存在同士が寄り添いあうのに時間はかからなかった。なぜか俺だけはホブの言葉が理解できた。ホブも俺の言うことにだけは従った。

 1年後、俺達は故郷から旅立った。目的は自分の居場所を見つける事だった。本来は1人で旅立つはずだったがホブが勝手に付いてきた。

俺達を受け入れてくれる所は少なかった。ヒューマンはゴブリンだということだけで忌避した。同種であるゴブリンも最初の頃は受け入れてくれたが時間が経つと疎外するようになった。

 自分の居場所はこの世界に無いことを悟り、無いのならば作るしかない。しかし、集落を作るには金が必要だ。俺達はゴブリン専門の傭兵になった。ゴブリンに雇われ、集落を襲ってくる冒険者()を倒す。金のためならば何でもやった。

 傭兵を始めて数か月後、自分がヒューマン達から新人殺し(ルーキーキラー)と呼ばれることに気付いた。ヒューマン達が自分達を恐れる姿を見るのは気分が良かった。やっと自分達が認められた気がした。

 そんな中俺達の前に2人の冒険者が現れた。実力は俺達の方が上だったはずだ。俺には誰にも教えていないスキルがあった。対象1人のステータスの少し上のステータスを得ることが出来る。このスキルがあれば自分より低いレベルの敵を圧倒できる。そのはずだった、相棒の死に動揺さえしなければ勝っていたのは自分だ。

 死の間際気付いたことがある。俺が欲していたのは、生まれてから求めていたのは誰かとの繋がりだった。生まれてほどなくして両親は俺を捨てた。友人なんて出来たためしがない。これは他人を見下していた俺への自業自得だ。それでも、ホブ(あいつ)だけがどんな所にも何時でも一緒にいてくれた。

 なんだ最初から俺は持っていたのか。

コブにもいろいろあったってことですね。

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