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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ドロシー・セビュロスとトリオ編
195/385

第百五十八話 「…覚悟は決めたはずなんだけどな」

今月第五話。

『ギャー、ギャー、グルルギャー!』

 仲間を殺され怒り狂っているゴブリン達を引き付けることに成功した。ゴブリン達も各々の装備で抗戦してくる。槍や矢、中には石などを投げてくる者までいる。

 しかし、下から上への攻撃に加えて、練度もそこまで高くない攻撃を俺は難なく避けていく。

「ウォリャー!コール」

 俺に注意が向いているゴブリン達に物陰からジャックが襲った。

 相手の注意を集めるアビリティのコールも使っているため、ゴブリン達の意識が強制的にジャックに集まった。

ジャックは手前のゴブリンを盾で殴り飛ばし、近くにいるゴブリン達を片手直剣で手前から斬り倒していく。すぐに囲まれそうになるが俺の弓での援護でゴブリンの足を止めた。

(何も倒すだけが戦い方じゃない。戦闘不能にするだけでも十分戦いに役立つ)

 ゴブリンの数が残り3人になった所で屋根から降り、腰から短剣を抜いた。

 ゴブリンは生存本能が高い魔物だ。自分達が劣勢になるとバラバラに逃げることが多い。

 残った3人はアイコンタクトを取り、各自の判断で逃げだした。俺とジャックは自分に1番近いゴブリンを仕留めた。残り1人はかなり足が速いのか俺が振り向いた時には結構な距離にまで走っていた。

「ヒロシ!」

「大丈夫。まだ射程距離だ」

 俺は弓を取り出し、矢を番え、狙いを定めて射った。慣れれば1連の動作もスムーズになる。

 矢はゴブリンの背中に当たり、ゴブリンはその場に倒れた。

「ジャックはこの場で後処理を頼む。俺は止めを刺してくる」

「了解っす」

「ギ…ギギ…」

 最後の1人は虫の息だった。俺は短剣で止めを刺そうとした。

「ゴ…メン…ダスゲテ…」

 涙目で訴えかけてくるゴブリンを見て俺の手が止まる。

(ああ、こいつはこういう奴なのか)

 ゴブリンは一瞬の迷いを見て、にやりと笑い隠し持っていた短剣を俺の首元に振る。

ザシュ

 俺は短剣でゴブリンの首筋を斬った。

「良かったよ。お前がクズでこっちも容赦なく殺せる」

 解体をして、ジャックのもとへ戻った。ジャックは荷車から村人を下ろしている最中だった。

「ジャック…やっぱり村人は」

 ジャックは首を横に振る。荷車に乗っている村人以外にも被害者はいるはずだ。おそらくすでにゴブリンの集落に運び込まれた後だろう。

「生存者はなしか」

「俺達の戦闘が終わっても誰も出てこないってことは…おそらくは全滅っす」

「ヒロシ、大丈夫すか。ひどい顔っすよ」

「…覚悟は決めたはずなんだけどな」

(頭でわかっていても心はまだ…追いつかない。集落を討伐するまでにはなんとかしないとな)

 初めての亜人殺しの経験は最悪だった。

思い悩み、苦しむそれこそ人生。

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