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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ドロシー・セビュロスとトリオ編
194/385

第百五十七話「フウー」

今月第四話。

4月11日 16:00

草原

「ウォリャー!」

ドシン

 ジャックがレッドボアの巨体を投げ飛ばした。

(まったく、とんでもない力だな。体重差どれだけあると思ってんだよ)

「よし、これで3体目だな。さっさと解体して村に向かおう」

 日も傾いてきた時間帯、俺達は草原でレッドボアを討伐していた。

罠で早めに片づける手もあったがレッドボアが落ちる穴となるとそれなりのサイズの穴を用意しなければいけない。そうなると後始末の方に時間がかかってしまう。

 スキル想像力(イメージ)は生産、製作する事には長けているが片づけまでは出来ない。使い終わった落とし穴はそのままで穴は自分達で埋めなければいけない。これがかなりの手間だって事に俺達は数時間前に思い知った。


 解体を終えた俺達は今夜泊めてもらう村に向かっていく。

「村はまだっすか」

「もうすぐのはずだ、確か村の名前はポテサラ村だったかな」

 俺はマリナス商店で図鑑と一緒に買った地図を取り出した。

「ポテサラ村、なんか美味しそうな村っすね」

「お!あれじゃないか」

 俺は目の前を指さす。前方に民家が数軒見えた。

「やったー!飯と宿、飯と宿」

 ジャックは村の方へ走り出していった。

(連戦だったのによく走る体力が残っているな)

俺もジャックの後を追う。しかし、ジャックは村に入らず村の入り口で立ち尽くしていた。

「どうした、ジャック」

 ジャックは黙って村の方を指さした。

「な!」

 俺は目前の光景を疑った。何者かに押し入られた民家、村人が抗った跡、村の所々に血が飛び散っている。ポテサラ村は何者かに襲われた後だった。

 俺とジャックはゆっくりと村に立ち入る。あまりの惨状に黙ったまま進んでいく。

 八百屋と肉屋は荒らされ、宿屋のドアは無理やりこじ開けられていた。村人の影はどこにも見えない。

「ギギギ」

 何者かの声が聞こえる。俺は2本の短刀をジャックは盾と片手直剣を即座に構えた。

 ゆっくりと物音と声がする方へ歩を進めていく。

 村の端で声の主を見つけた。

特徴的な長い耳、小柄な体格、緑色の全身。声の主、村を襲った黒幕であるゴブリンの一団は村人達を運んでいた。ニタニタと笑いながら殺した村人を奪った荷車に乗せていた。

「…ヒロシ、俺はここで逃げるなんて御免すよ」

「分かっている俺の弓で先制する。それを合図に突っ込め」

 索敵で目の前の集団以外に敵がいない事を確認し、俺は近くの民家の屋根に上がる。

 一団の数は12人。軽く武装をしているが俺とジャックなら相手できる。

「フウー」

 目を閉じ深く息を吸い、覚悟を決める。矢を番え、標的を定めた。

ヒュン

 矢はまっすぐに飛び、狙ったゴブリンの頭を射抜いた。

ゴブリン戦開始!

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