第百五十話 「それがタナカ様の良い所なのでしょう」
今月第二話。
マリナス商店本店 応接室
コンコン
「代表、タナカ様とビーン様をお連れしました」
ガチャ
部屋にいた赤髪ポニーテールのきれいな女性がドアを開けてくれた。服装は黒いスーツにロングスカート、整った顔に大きい目が印象的な女性だ。
(秘書の方かな?)
「タナカ様、ビーン様よくお越しくださいました」
「マリナスさん、本日はご招待ありがとうございます」
俺とジャックは部屋の中に進んでいく。
応接室にはソファーが2つと間にテーブルが置かれていた。壁には風景が描かれた絵画が飾ってあった。装飾品や調度品などはそこまで多くなく、客に緊張感を与えないように高価なものもあまり置かれていない。気楽にお話が出来る空間が出来ていた。部屋の右側にもう1つ扉がついていた。
「どうぞおかけください。飲み物は何がよろしいですかな?」
「では紅茶を頂けますか」
マリナスさんに案内されるままソファーに腰掛ける。
「俺も紅茶でお願いします。」
「アンナ紅茶を3つ頼む」
マリナスさんはソファーの後で控えていたアンナと呼ばれる女性に声をかけた。
「かしこまりました」
アンナと呼ばれた女性は右側の扉を開けて隣の部屋に入っていった。
(ちらりと見えたけど隣にキッチンがあるぽいな)
「いやー。折角お二人が王都に来ているならお声掛けしようと思いましてな」
「なるほど」
アンナさんが持ってきた紅茶を飲みながら俺とジャックはマリナスさんと談笑する。
「それにビーン様は騎士試験を合格したとか。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
(騎士試験の事何処で知ったんだろう)
「それで僭越ながらお祝いの品を用意させていただきました。どうぞお受け取りください」
マリナスさんはラッピングされた箱を取り出し、テーブルに置いた。
「え、ありがとうございます。開けてもいいですか」
「どうぞ」
箱の中身はマジックバック中だった。
(マリナスさんは俺達が1番小さいサイズを買った事を知ったのだろう。それで、お祝いとして中サイズを用意してくれたんだな)
「いいんですか?」
中身を見たジャックは嬉しそうにマジックバックを取り出した。
「ええ、是非ご活用してください」
(なんでマリナスさんは俺達にこんな良くしてくれるんだろう。折角だ、この機会に聞いてみよう)
「マリナスさん、1つ聞いていいですか?」
「なんでしょう」
「マリナスさんは何でこんなに俺達に良くしてくれるんですか?」
俺はまっすぐマリナスさんの目を見て話した。
「フ、タナカ様は真っ直ぐな方ですね」
「えっ」
「それがタナカ様の良い所なのでしょう」
本編150話達成。物語は全然進まないけどこれからもよろしくお願いします。