第百四十七話 「まあ、そりゃそうっすけど。俺達には関係のない事す。それより、このクエストとかどうすか?」
今月4話目。
5大ギルド、冒険者ギルドの中で最も名が知れ渡っている5つのギルド。5名のギルドマスターは冒険者ギルド総括会の最高意思決定機関の役員も兼任している。いわば冒険者のルールそのものだ。
その1つがシャルル王国王都シャルティアに拠点を置くペガサスナイト。冒険者ギルドで最優のギルドと言われている。紋章はその名の通り白銀色で描かれたペガサスナイトになっている。
確か他の4つがスカルドラゴン、サーペントクイーン、キマイラ、フェンリルだったはずだ。
遠目からペガサスナイトの冒険者を見るとそこにはちょっとした人だかりが出来ていた。これ以上の騒ぎにならないようギルドの職員が急いで奥に通している。
ちなみに大きなギルドは自分達のギルドハウスにクエストボードが置かれている。先ほどのように有名な冒険者がギルドに出向いて、騒ぎにならないように基本的には自分達のギルドにあるクエストを受けている。有名なギルドは依頼人から直接クエストを依頼されることが多々ある。
(流石5大ギルド所属の冒険者にもなると扱いが違うな。遠めでちらりとしか見えなかったけどオーラなのか少し輝いて見えたしな)
「どうしたんすかヒロシ?」
「いや、5大ギルド所属の冒険者ってすごいなって」
「まあ、そりゃそうっすけど。俺達には関係のない事す。それより、このクエストとかどうすか?」
ペガサスナイトの冒険者には目もくれずジャックはクエストボードに貼ってあるクエストの中から何枚か取ってきていた。
ジャックが選んだクエストはレッドボア3体討伐、レイジブル3体討伐とゴブリン集落の討伐の3つだった。
レッドボアは何度か相手している魔物だし、レイジブルも討伐はそこまで難しくないだろう。問題はゴブリンだ。これを選んだって事はジャックがすでに覚悟を持っている事を表している、亜人種を殺す覚悟を。
多分ジャックは元から覚悟があるんだろうが、俺はまだだった。
これまで多数の魔物を殺めてきた。だけど、まだ亜人種を討伐した事はない。中級冒険者になればいやでも亜人種やヒューマンと戦う事がある。
(頭の中では亜人種もヒューマンも他の魔物と同じだって事は分かっているんだけどな。種族によっては意思疎通できるってのがな)
(覚悟を決める頃合いだな)
5大ギルド。前から名前は出ていましたがギルド名は今回が初めてです。