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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ドロシー・セビュロスとトリオ編
180/386

外伝30 盾で突く

今月第1話。

 いざ本番になると昨年の試験の事が頭をよぎる。あの時とは装備も実力も何もかもが違う。

 相手役はリナルド・オクシタニア、傷一つないピカピカな鎧を纏った貴族出身の男だ。確かシャルル王国の辺境伯にオクシタニア家があったような。

身長は自分より20㎝以上高く、その分体重もあるだろう。顔はヘルムのせいで見えないが、周りから黄色の歓声が聞こえるので素顔は美形なのだろう。

 相手の武器は自分と同じ片手直剣と盾。しかし、盾は自分の小型の円形と比べて、重装歩兵が使うような大型の盾を持っている。あれで突っ込まれたらひとたまりもない。

「それでは始め!」

 試験官の合図で俺とリナルドは同時に動いた。2人共一直線に相手の方へ突っ込んでいく。リナルドの方は装備と体重差を考慮した突進。対して俺は衝撃を減らすためにあえて自分から近づくことにした。

ガン

お互いの盾がぶつかり、火花が飛び散る。ここからは守備力がものを言う。ケビンさん達に教えてもらった、相手が体格で勝るならこちらは技術で補え。重心は低く、力は全体に、そして耐えて機会を窺う。

(あれ、思った以上に重くない)

ガンカンゴン

リナルドの攻撃が続く、攻撃する度に黄色い声援が飛び交う。周りからは一方的な戦いに見えるのだろうか。

(それにしても、こいつの攻撃軽いな。ケビンさんやキッドさんの方が重い)

ちらりとヘルム越しに相手の顔を見える。きりっとした目に紺色の髪が見えた。

 なおもリナルドの攻撃は続く、俺は守りに徹し絶え凌ぐ。黄色声援のせいかリナルドの攻撃が段々と大振りになっていくのが分かる。声援に答えるためか試験官や周りにアピールするためかはわからないが明らかに隙が見えた。

(申し訳ないすっけど。こっちも合格がかかってるんだ。反撃させてもらう)

「うおおおお!!!」

 雄叫びと共に力を前方に集中する。リナルドの剣を弾き、勢いそのままに壁まで押し切った。

ドン

「ガハ」

壁ドンを決めて、リナルドの首元に片手直剣を突きつけ勝負を決めた。

「…そこまで!勝者ジャック・ビーン」

 少しの沈黙の後、試験官エイナ・エクレールが試験を止めた。

「…馬鹿な。こんなはずじゃあ…」

 リナルドは膝から崩れ落ち、何かぶつくさ言っている。

 よし今年はしっかりと実力をアピールする事が出来た。

「次はクゥ・フリンとアタランテ・キノゴス、前へ」

実技試験終わり。

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