外伝29 単槍匹馬
少し短いですが今月最後の話です。
4月8日 9:00
シャルティア 教会 騎士団訓練所
「今日試験管を務めるエイナ・エクレールです。よろしくお願いします。これより騎士試験2日目実技試験を始めます。試験内容は1対1の模擬戦、装備は各自準備してきたものを使ってください。質問はありますか?」
実技試験の試験官の薄緑髪の先輩女性騎士、エイナ・エクレールは進行を続けていく。噂では試験官は聖盾騎士団の双子の副団長の片割れらしい。
(それにしても去年と変わらず観客が多い)
訓練所の周りには大勢の騎士達が試験を見学していた。騎士達は自分達を値踏みするように見ている。
(大方今年の受験生で使える騎士がいるかどうか見ているのだろう)
7聖騎士団みたいに大きい騎士団と違って、人数が少なく、教会所属の騎士団内でも発言力が弱い騎士団は慢性的に人手不足だ。だからこうして実力を見極め即戦力になりそうな者には早めに教会に申請する。有能な騎士は常に必要とされる。
(その実力も家柄込なんだろうけど。ハーフである俺には誰も注目しないだろうな)
こういう場ではその方がいい。緊張する必要もなく、全力が出せる。
ガッカンキンッド
受験者の1人、黄緑の髪で眉太の青年の槍に払われてもう1人の受験者の剣が宙を舞い、地面に刺さる。誰から見ても勝負は決まった。
「参った」
剣を失った方の騎士見習いが手を上げる。
「そこまで!勝者マチャウ・キン」
模擬戦だから重症や死に直結する攻撃は禁止されている。ほとんどの試合は寸止めで終わっていた。
「次はジャック・ビーンとリナルド・オクシタニア、前へ」
ついに自分の番が回ってきた。
外伝の騎士試験もう少し続きます。