外伝28 使っている鉛筆は光る
今月5話目。
年に1度の騎士試験には毎年多くの騎士見習いが受けに来る。例年通りシャルル王国王都シャルティアにある教会も受験生でごった返していた。パット見て数百人はいる。受験生は先輩騎士の案内のもと筆記試験を受ける部屋に入っていく。1部屋では足りないので受験生が持っている受験番号ごとで部屋を割り振られている。
試験開始10分前には自分の席に着いていたジャックは試験用の教科書を広げていた。試験直前の勉強はほとんど役に立たないのだが何もしないとどうにも落ち着かない。
試験開始5分前に試験官達が部屋に入ってきた。試験の注意事項などの説明があって、試験用紙と回答用紙が配られる。
ちなみに試験官達は全員その教会にいる騎士達だ。今回の場合聖盾騎士団の団員になる。
「それでは時間になりましたので、始めてください」
試験官の掛け声と共に一斉に受験生が動く。
「ただいまっす」
(疲れたー。何で試験1つがこんなに疲れるんだろう)
「お、ジャック君帰ってきたか。ヒロシ君なら部屋にいるよ」
カウンターにはショーンさんがいた。
「よ、ジャックおつかれ。飯一緒にどうだ、それとも部屋で休むか?」
丁度ヒロシが降りてきたところだった。
「いや、飯を先に食べたいっす」
「了解。ちょっと待ってろ今作るから」
ショーンさんは厨房の方へ向かっていった。
晩飯を食べながらヒロシに試験の事を話す。
「今日は筆記だけだったから、大したことなかったす」
筆記試験の難易度は昨年とほとんど変わっていなかった。余った時間で自己採点したが100点満点で80点はかたい。
「そうか。じゃあ明日が…」
「実技っす」
(実技と筆記でできるだけいい点を取らないと)
人生は試験の連続。