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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
ドロシー・セビュロスとトリオ編
170/385

外伝24 外に国民あり城内に使用人あり

久々の外伝。

 著名人、世間に名が知られている人にプライベートはほとんどない。常に誰かの視線を気にし、気軽に買い物なんて行こうものなら外が大変な騒ぎになる。

著名人は何もモデルやタレントだけを意味するものではない。一国の王女や英雄もまた有名人にあたる。日頃から外聞を気にして生活している彼らに気軽に悩みを話す様な友人はそうはいない。いや友はいる、信頼を置ける者も確かに身近にいるがそれでも立場を気にせず、ただの男と女の子として見てくれる者は近くにいない。

 だからこそ、彼らは驚いた。顔を見れば、名前を知ればほとんどの者が知っている有名人。しかし、目の前の男性は気軽に握手を求めてきた。

「俺は通りすがりの冒険者、ヒロシ・タナカ。よろしくな」

 普通一国の王女を賊から助ければ、報酬、金品を求めるか何かしらの願いがあってもいいはずだ。だけど、彼は何も求めなかった。演技をしている様子もない。

「怪我は…なさそうだな。うん、これからは気を付けろよ」

 物語にでてくる勇者のように私を賊から救ってくれた彼は軽く私を見て、去ろうとする。

「ちょっと待って!」

 生まれて初めての対応のされ方に戸惑い、つい呼び止めてしまった。

「ん?どうした?」

「…そ、そうですわ。助けてもらったお礼に何かご馳走しますわ」

「いいよお礼なんて。たいした事したわけじゃないしさ」

(やはり彼は自分の事を知らない。もしかしたら、何も知らない彼となら…)

「それでは私の気が収まりません」

「…分かったよ。では、近くの喫茶店で一杯奢ってもらおうかな」

「はい!」

もうすぐクリスマス。でもボッチの俺にはただの土曜日。

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