第百三十話 「俺は国立図書館に行ってみようと思う」
今月第二話。
3月31日 20:00
「うーん。よく寝た」
ちょっとした仮眠のつもりが爆睡してしまった。窓を見るともうすでに夜の帳が下りた後だった。月光を頼りに机に向かい、そこに置いてあるランプを点ける。
「グウ―」
睡眠欲を満たした後は胃袋が声を上げた。
(今何時だろ。流石にまだ10時は回っていないよな)
空腹を満たすため部屋を出た。廊下には一定の間隔でランプが置いてあった。
「ジャックはもう寝たかな。それとも試験勉強をしているかもしれない。そっとしとくか」
「すみません。晩御飯の時間って終わりました?」
1階の食堂は大学にあるカフェテリアのようだった。長方形の机が6脚並べられており、その左右に3人くらい座れる長椅子が置かれている。
「ああ、まだやっているよ。適当に座って待ってな。直ぐ持っていくからよ」
厨房にはショーンさんがいた。ショーンさんは宿屋のオーナー兼料理人らしい。
「はい」
もうすでに他の客は食べた後なのか食堂には俺以外とお酒を飲んでいるおじいさんが居るだけだった。俺は厨房から1番近い位置にある席に座った。
10分くらいでショーンさんが料理を持ってきた。
「待たせたな。今日のメニューは野菜炒めとレッドボアのステーキになってる。スープとご飯はおかわり自由だから遠慮なく言ってくれ」
「はい。ありがとうございます」
(うまそー。いただきます)
「ふう。食った食った」
(うますぎてご飯3杯もおかわりしちゃった)
食べすぎたので食後の運動をしに散歩に出た。
流石に人通りは少なくなってはいたがまだ店のほとんどがまだ開いていた。
(街灯の1つ1つも凝った造りになってんな)
屋台などもまだやってあり、果物ジュースを買って王都シャルティアを見て回る。
(だけど王都でも路地裏は危なそうだな)
路地裏を少し覗くと危なそうな露天商のおじさんと目が合ってしまった。俺はそれ以上路地裏に踏み入れずに大通りに回れ右する。
(そろそろ戻るか)
宿の自分の部屋に戻った俺はシャワーを浴びてベッドに入った。
4月1日 8:00
宿屋ミモア 食堂
「さて、今日はどうすんだ?」
「そうっすね。俺は教会に行って騎士試験の登録してくるっす。ヒロシはどうするっすか?」
朝飯を一緒に食べながら俺とジャックは今日の予定を立てる。
「俺は国立図書館に行ってみようと思う」
俺が王都に来たのはただジャックの騎士試験に付き合うためだけではない。王都にある国立図書館で転移と女神について調べる為でもあった。シャルル王国最大の図書館だったら何か手掛かりが見つかるかもしれない。
これから説明が多めになります。