第九話 「鳥肉ね!わかったわ。あ!おじさんこのペグン頂戴。」
やっと帰ってきたケビンさんです。
「おかえりなさい!」
ラウラさん達がリビングでケビンさん達を出迎えていた。
「ただいま。皆変わらないか。」
ケビンさん達も床に荷物を下ろしリビングにあるソファーで寛いでいた。
その雰囲気がとても良くて、俺は輪の中に入れなかった。
リビングの隅で立っている俺に気づいたケビンさんは手招きする。俺は手招きに応じて、ケビンさん達の方へ近づいていく。
「初めましてではないが、久しぶりというのもなんか違うような気がするな。改めて自己紹介しよう。このファミリアのマスターをしているケビン・スノーマンだ。よろしく裕君。」
ケビンさんが手を差し出す。
ケビンさんと握手を交わし自己紹介をした。
「裕・田中です。よろしくお願いします。」
西大陸では元居た世界の欧米諸国みたいに名前の後に苗字を名乗るのが常識らしい。だから俺も名乗る時はそうするようにした。
(郷に入っては郷に従えだな。)
「ラウラ君からの連絡で大体の事は知らされていたが、言葉を話せるようになったんだね。いやー会話が成立できて良かった。あの時はどうすればいいか分からなかかったからな。ワハハ。」
ケビンさんは大笑いしながら、俺の背中をたたいた。
「ごほごほ。」
ケビンさんの力が強く、俺は思わずむせてしまう。
「まあー。いろいろ話もあるだろうけどよー。それは宴の時でいいだろ。」
吟遊詩人ぽい人、ルイスさんが軽い口調でそう言った。
「あー。そうだな。」
それにケビンさんが賛成する。
それから各々宴の準備に取り掛かった。その時に知ったのだが、ファミリア サンダーバードでは大きな仕事の後は宴をするのが恒例だそうだ。特にケビンさん達が遠征から帰ってきた時とかは盛大にするそうだ。
俺とエイラさんは買い出し係になった。フルネームはエイラ・ステレイキャット、ちょっとふわふわした金髪がトレードマークで身長150㎝代の低身長なのがコンプレックスらしい。優しい料理上手なゆるふわ女性の印象がある。エイラさんもサンダーバード所属の冒険者でエースさんやラウラさんと同じパーティー、ブレーメンバンドに入ってる。しかし、エイラさんは現在冒険者業を休業してサンダーバードの管理や料理などをしている。サンダーバードで食べる料理はほとんどエイラさんが作っている。休業の理由は聞いていない。ていうか聞けない、聞いてはいけないような空気がする。
(まあ。エイラさんはやさしいし別段エースさんやラウラさんと揉めてるわけではなさそうだけどな。)
「エイラさん、後何買います?」
俺とエイラさんは食材市場みたいな所に来ていた。ほとんどの食材はここで見つかる。
「そうね。裕君は何が食べたい?」
「え!俺ですか。俺は何でもいいですよ。」
そう答えると。エイラさんがこっちを振り向き顔を近づけた。
「何でもが一番困るの!いいから、何が食べたいか答えなさい!」
エイラさんむっとした顔をこちらに近づける。
(近い近い、そして微かにいい匂いもする。やばい、やばいって。)
「は、はい!鳥肉ですかね。」
俺は慌てて近くにある鳥肉を指さす。
「鳥肉ね!わかったわ。あ!おじさんこのペグン頂戴。」
そう言ってエイラさんは俺が指さした大きな鳥を買った。ちなみにペグンは元居た世界で言う所の鴨だ。しかし、元居た世界の鴨より3倍くらい大きい。
それから俺たちは買い物をすましサンダーバードに戻った。
なかなか本題が書けない。