第百十七話 「ヒロシ大丈夫すか?」
ジャイアントスパイダー戦終了。少しあっさりしていたかもしれませんが、こんなもんで許してください。
ガッガガ
「おら!」
出てきたジャイアントスパイダーの片方を止めるジャック。やはり1度に2体同時を止めるのは難しいようだ。
シュ
俺は横からジャックを襲おうとしているもう1体の左側の足を火矢で射貫く。
「!!!ギギギ。」
足を射抜かれ激昂しながらこちらに向かってくる大蜘蛛。
とんでもない脚力で距離約100mの位置から飛んでくる。俺は構わず2本目の火矢を引火し、空中にいる蜘蛛に射る。蜘蛛は空中で腹から糸を出し、方向転換する。蜘蛛ならではの動きで火矢を避けられた。
「ッチ。」
ちらりとジャックの方を見る。あっちはあっちでジャイアントスパイダーと攻防を繰り広げている。ジャックに焦りがない事から1人で十分戦えていると判断しこっちも目の前の標的に集中する。
(さて、どうやって当ててやろうか。)
「ギギギ。」
木の上で8つの目で俺を観察する大蜘蛛。
俺は3本目の火矢に火をつける。先の2本の矢で学習したのか、狙いを定めさせないように糸を使い木々の間を高速移動する大蜘蛛。
(結構うざい動きするな。今まではジャックが抑え込んでいたから、こんな素早く動けていなかったのか。)
俺は蜘蛛の動きを先読みし、火矢を射る。
(これでどうだ。)
蜘蛛は俺の先読み通りの軌道を辿っている。このままいけば当たる。しかし、火矢が当たる寸前、大蜘蛛は糸を出すのを急に止め空中で一時停止した。火矢は大蜘蛛の頭部をギリギリかすり抜けていく。
(あんな動きも出来るのかよ。)
ドシン
大蜘蛛は当然次の矢を番える隙を逃さない。俺の真後ろに降りると突っ込んできた。
「フ。」
俺は弓と火矢を捨てた。大蜘蛛から見たら諦めたように映っただろう。
次に火元である焚火にある手頃サイズの木の棒を拾い上げ、真後ろに突っ込んできている大蜘蛛の頭部を横から力いっぱい叩いた。俺の渾身のカウンターで大蜘蛛は横に飛んでいき、木の幹に突っ込んでいく。
俺は腰にある短剣を抜き、焚火で少し熱してからジャイアントスパイダーの方へ向かう。
まだ倒れている大蜘蛛の頭部に短剣を突き刺し、止めをさした。
(カウンターが思ったよりささったな。)
空中を高速移動している標的を当てられるほど俺の弓は精度が高くない。先読みの火矢は当たればラッキー程度に思っていた。その上で外した時のカウンターの2重で構えていた。
(さて、ジャックの方は…と。)
「ヒロシ大丈夫すか?」
ジャックがこちらに向かってくる。すでに1体目を倒した後だった。
(この調子ならアイアンアントもどうにかなりそうだな。)
第3章気付けば1番長い章になった。