第百十話 「ああ、それなら安心してくれ。エクストラポケットのレベルを上げたから。」
ついに15万文字達成。
解体が終わるのを待つ間俺達は買っておいたサンドイッチを食べる。
「解体が終わったら、アイアンアントとジャイアントスパイダーの巣を探すぞ。」
見つけた巣を地図に書き込む。そうすれば次来る時は戦闘だけに集中できる。
どちらの魔物も地中に巣を作っている。当然出入り口になっている穴が存在する。穴の大きさもほぼ同じくらいだが、ジャイアントスパイダーの巣周辺には蜘蛛の巣が多数設置されている。糸に絡まった小動物を糸で絡めて巣に持ち帰り、時間をかけて食べる習性らしい。
「了解っす。確かどっちも煙と火が弱点すよね?」
「ああ、煙の方はけむり玉で解決できる。火の方は模索中だ。ちょっと試したい物があるからな。それが成功すればって所だな。」
「またっすか?ヒロシは隠し事多いすよ。」
何気ない1言が少し心に刺さった。
(こいつは俺達を信頼して自分の身の上を話したんだもんな。俺はまだ嘘ついているってのに。)
「…なあ、ジャック。もしもの話だけどよ、お前の親友が自分の事について嘘ついていたらどうする?」
俺は卑怯で弱い男だ。正直に話せない上に仲間を試している。でもどうしても確かめたかった。
(こんな風に言ってもジャックが困るだけなのにな。)
「…そうっすね。本当の事を話してくれるのを待つっす。」
ジャックは少し考えてから答えた。
「……。」
「だって、そいつは俺の親友なんすよね。思い上がりすけど俺の親友だったら噓をついた、つく必要があった理由がきっとあると思うんす。だったら俺が出来る事は待つ事だけかなって。」
笑みを浮かべジャックは話した。
救われた気がした。まだ何も解決していないし、何時真実を話せるかもまだ分からないのに、ただただその言葉に救われた気がした。
この世界に送られた事は災難だったけど、この世界での出会いには本当に恵まれている、そう思った。
「さて解体も終わったようすよ。でも、これ全部持って帰れっすか?」
「ああ、それなら安心してくれ。エクストラポケットのレベルを上げたから。」
3つあったレベルポイントの1つを使ってエクストラポケットを強化した。レベル1の時の収納空間は少し大きいスーツケース並だったがレベルが上がって今は部屋1つくらいになっている。大きさ的には6畳間くらいだろうか。
これで必要になるマジックバックの数が1つ減る。
俺は解体が終わり、地面に転がっているブラックウルフの素材を次々とエクストラポケットに入れていった。
仲間に嘘を吐き続けるって結構きついですよね。いつ本当の事を話せるんだろ。