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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
下級冒険者編
126/386

第百四話 「タナカさんに神の祝福があらんことを。」 

今月4話目。

 俺と教会のシスター、リサさんはベンチに座り話の続きを始めた。索敵アビリティで近くに人がいない事は確認済みだ。

「実は私のスキル迷える子羊(ロストシープ)は悩みを抱えている人を見つける事が出来るのです。」

 シスターは自分のスキルの説明を始めた。

 なるほど、スキルで俺が悩みを持っている事が分かったのか。それで、教会のシスターの立場上声をかけたと、だが生きている限り皆大なり小なり悩みを持っているだろう。シスターは礼拝堂に来ている人達の中俺に絞って声をかけた。

「悩みの1つや2つ誰でも持っていると思いますけど。」

「ええ、もちろん。でも私のスキルはその中でも、うーんなんて説明すればいいのでしょう。」

 シスターリサは途中で言葉を詰まらせる。多分失礼にならないように言葉を選んでいるのだろう。

優しいシスターだなと俺は素直にそう思った。

「重い悩みですか?」

「え!いや重いなんて。」

 シスターは否定したが多分俺の推測は合っている。スキル迷える子羊(ロストシープ)は悩みを持つ者と悩みの深刻度合みたいなのも分かるのだろう。そしてシスターはその中で比較的深刻な悩みを抱えた人を選んで声をかけている。

「いいですよ、気を遣わなくて。確かに俺は少々訳アリでしてね。詳しくは話せませんが、俺はある神様を探しているんです。」

 俺は正直に話した。このシスターに嘘はつきたくなかった。

「ある神様ですか。」

「ええ、名前も分からないんですけどね。」

 俺は苦笑いする。女神だから一応女性の姿なのだろう。1柱だけなら分かりやすかったがそうではなかった。

「神族に直接お会いする事は難しいですが、仲介人を通してお話しする程度なら出来るかもしれませんよ。」

「え!本当ですか!」

 突然の吉報に俺は大声を出してしまう。

(神に会う必要はない。あの女神ともう1度話さえできれば元居た世界に戻れるかもしれない。)

「ええ、でも神族と話せるのは教会でも限られた方々なので私ではなんとも。」

「それは…そうですよね。」

 落胆する俺に申し訳なさそうに謝るシスター。

(でも、新しい情報は貰った。後はどうにか教会とパイプを通して神と話せる機会を設ける。)

「タナカさんはやっぱり優しい方ですね。」

 突然シスターリサが言った。

「はい?」

「いえ、話しかけると大抵の方は気持ち悪がられるので。」

 シスターリサはにこりと笑いかけてくる。きっと、これまでも俺の時と同じように悩みを持っている人達に声をかけてきたのだろう。中には暴言をはかれたり、気味悪がった人達もいたはずだ。だけど、彼女は止めなかった。悩みを少しでも解消出来るならという一心で声をかけ続けたんだろうな。きっとこれからも変わらず。

「今日はありがとうございました。解決の糸口を掴めた気がします。声をかけるのは良いですけど、これからはもう少し気をつけてくださいね。」

「はい。私は何もしていませんが少しでもタナカさんの手助けができたのなら良かったです。」

 最後に俺とシスターリサは握手して別れた。

「タナカさんに神の祝福があらんことを。」

があらんことを。」

いきなり吉報舞い込む。だけど物語はまだまだ続く。

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