第百一話 「はい。また来ます。」
今月第一話。マリナスがエスパーじみている。
12月12日 11:00
「いってらっしゃい。18時くらいに現地集合ね。ヒロシ君は一応主役なんだから遅れないようにね。」
「はい。それでは、いってきます。」
俺はマザーステイストでの宴会に何かしらの物を買うため外に出た。こちらの文化ではどうなのかは分からないが、元の世界ではパーティーに招待されたゲストは何かしらのプレゼントを持っていく文化がある。
(国によっても違うと思うが、持って行って嫌な顔はされないだろう。問題はどんな物を持っていくかなんだが。)
俺は買っていく物を考えながらマリナス商店の方へ歩いていく。
(あそこなら大抵のものは揃っているしな。)
道具屋 マリナス商店
カランカラン
「いらっしゃいませ。おはようございます、タナカ様。」
店に入るとマリナス商会のマリナスさんが出迎えてくれた。
「マリナスさん、先日はいろいろありがとうございました。」
「いえいえ、私は何もしておりませんよ。今日は何をお探しですか。」
俺は今夜マザーステイストで宴が開かれ、そこに招待されている事をマリナスさんに伝えた。
「なるほど、手土産をお探しという事ですね。」
「はい。何かおすすめとかありますか?」
「そうですね。ここは果実酒などどうでしょう。」
マリナスさんは飲み物コーナーに案内する。
(果実酒かワインとかって事か。確かに食べ物よりも喜ばれそうだが、レストランにアルコール類を持って行って同じのがあっても困るしな。)
「パーティー場所はマザーステイストでしたね。それではこれらなどどうでしょうか?これらはまだマザーステイストに置いていない物ですので。」
まるで思考を読まれたかの様にマリナスさんは棚から数本果実酒を取って、勧めてきた。
(さすが1流の商人、客の顔色を見るだけである程度の考えが分かるんだろうな。それとも俺の顔がよほど分かりやすいのか。マザーステイストが揃えている酒の種類まで知っているってすごいな。)
「そんなに驚かなくてもマザーステイストはお得意様ですから、たまたま知っていただけですよ。」
またしても思考を読まれた。
「これって試飲とかってできますか?」
マリナスさんからおすすめされた物だから美味しくないって事はないだろうが一応自分で試してみなくてはいざって時説明できないし。
「ええ、もちろん。少々お待ちください。グラスを持ってきますので。」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
「はい。また来ます。」
俺はマリナス商店での買い物を終えた。悩んだ末マリナスさんがおすすめしてくれた果実酒3本を買った。試飲したが下戸の俺でも飲みやすい物だった。
(マザーステイストの人達喜んでくれるといいな。)
あらすじの所にも書いていますがTwitterを始めました。投稿終わりに呟くつもりです。