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現実逃避からの異世界冒険物語  作者: Piro
下級冒険者編
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第九十八話 「分かりました、誘ってみます。」

今月1話目。

12月11日 19:00

 ファミリアの皆と晩御飯を食べ終えた後、俺は1人庭に寝そべり星空を眺めていた。セロの星空は空気があまり汚染されていないためすごく澄んでいる。今は冬の時期なのでさらに綺麗に見えた。

(冬は大気が安定して、あまり異物が空気中に舞わないから星空がいつもより綺麗に見えるってテレビで見た事がある。この世界に来たばかりの時も何か悩みがあるとよく星空を眺めていたっけ。)

「ヒロシ君。」

 星空を眺めていると背後からケビンさんの声が聞こえた。

「はい。」

 俺は立ち上がろうとするがケビンさんに止められる。

「いや、そのままでいい。横いいかね。」

「ええ、どうぞ。」

 ケビンさんは俺の横で寝そべり、俺と星空を眺め始めた。

「ふう、よいしょっと。久しぶりに星を見たがいい物だな。」

 ケビンさんはじっくりと星を眺め、ポツリと呟いた。

「はい。俺もそう思います。」


 暫く星を眺めた後ケビンさんは口を開いた。

「ヒロシ君、何か悩みを持っているのではないか?」

「え!」

「夕飯時のヒロシ君の言動に少し焦りがあるように見えたのでね。私の思い違いならそれでいいのだが。もし、何かを思い詰めているのなら話してみてはどうかと思ってな。」

 ごまかした事ケビンさんには気付かれていたようだ。

「…。」

 俺は少し考えてからケビンさんに正直に悩みを話した。自分達が考えているより冬越し熊(フローズンベア)の件が大きく取り上げられている事で周りが褒めるのはいいが、どう返答すればいいのか。自分が思っている以上にこの件が大活躍として広まっている事。俺達はただ必死に戦っただけで、死にかける重症も負ったのに本当に周りの評価を純粋に受け止めていいのだろうか。

「なるほど。」

 ケビンさんは俺の話を黙って聞いてくれた。

「要はこの件に対してヒロシ君とヒロシ君の周囲の評価の温度差が違うという事か。」

「ええ、要約するとそうなります。」

「ルイス君から聞いてはいたが、確かに。…ヒロシ君。君は焦りすぎだ。」

「焦りすぎ…ですか。」

「ああ、自分達が納得いっていないのに、世間が予想以上に盛り上げようとする。そんな事は冒険者を続けていけばいくらでも出てくるだろう。その逆もしかりだ。それが嫌ならば自分が思い描く活躍ができるくらい強くなるしかない。自分が思い描いた冒険者に少しでも近づけられる様に。」

 ケビンさんは話を続ける。

「満足いく仕事など私達でもまだ数回あるくらいだ。まだまだ君達は出始めたばかりではないか。自分のペースで成長すればいい。」

「ケビンさんレベルでもそんな少ないんですね。」

「ああ、日々研鑽だ。仲間と悩み、相談し乗り越えてきた。今のヒロシ君には私達の他にも相談する相手がいるだろう。」

 ケビンさんは苦笑いする。

「仲間…ジャック。」

「分かっているじゃないか。自分で悩むのも結構だが、仲間と話す事も忘れずにな。」

 ケビンさんはにやりと笑う。

「はい。明日ジャックと話してみます。」

 俺は立ち上がる。

(ケビンさんに相談して良かった。)

「話を聞いてくださりありがとうございます。」

「いや、いいよ。これからも何かあれば遠慮なく相談しなさい。」

「ありがとうございます。おやすみなさい。」

 俺はもう1度礼を言ってから自室に戻ろうとする。

「おっとヒロシ君!」

 立ち去ろうとする俺をケビンさんが呼び止める。

「はい?」

「もし、ジャック君が良ければだがファミリアに誘ってみてはどうだろうか。」

「いいんですか?」

 ケビンさんの突然の提案に俺は驚く。確かに同じファミリアだったら色々と助かるかもしれない。

「ああ。歓迎すると伝えてくれ。」

「分かりました、誘ってみます。」

梅雨早く開けないかな。

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