第九十五話 「後は素材を全部濾過器に入れればいい。この濾過器は同時にかき混ぜてくれるから、後は待つだけだ。」
気付いたら3章が1番長い。
薬屋 ボン・サンス 調合室
「少し待っててね。机の上少し片付けて場所空けるから。」
「ありがとうございます。」
「…よし、これくらいあればいいだろう。」
机の上を片付け終えたジルさんは近くにあった椅子を2脚持ってきた。
「はい、ヒロシ君座って。僕は素材と道具を持ってくるよ。」
「ありがとうございます。」
数分後ジルさんが素材と道具を持ってきた。
「待たせたね。…さて、今日は1番簡単なポーションの作り方を教えようと思う。薬の作り方の手順はほとんど似たようなものだからね。基礎と素材さえ知っていれば案外簡単に出来るんだ。」
「そうなんですね。」
「それじゃあ、始めるとしようか。」
「はい。」
「まず、素材だけど今回使うのはチナエ草と聖水、ゲンキダケ。最後にはちみつを使う。この4種類が基本的なポーションを作る際の素材だ。」
ジルさんは素材を1つずつ説明してくれた。チナエ草は採取の時に見た事があるのとはちみつはエイラさんが料理しているので見た事がある。ゲンキダケはベーテの森で見た事がある黄色のキノコだった。いたってどこでも簡単に取れる素材らしい。透明な液体の聖水は教会でしか生成方法を知らないらしく、取引先も教会か教会関係の組織しかないとジルさんが説明してくれた。
(聖水は教会の資金源の1つという事か。一見普通の水にしか見えないけどな。)
「なるほど。」
俺はメモを取りながら、ジルさんの説明を聞く。
「ヒロシ君も知っている通りチナエ草は抽出して使う。」
ジルさんはチナエ草を抽出し、回復液(中)に変える。
「ヒロシ君はアビリティ調合で抽出したようだけど、本当ならアビリティ抽出を使った方がいい。その方が早いし、質もいい。量も多くとれる。」
「そうなんですね。」
「それでは調合はいつ使うんですか?」
「基本的に調合は素材を合成する時に使う。ここでは器具を使っているが、外にいる時は大型の器具を揃えられないからね。」
「なるほど。」
「次にゲンキダケだけど、これはすりつぶして使う。」
ジルさんは乳鉢と乳棒でゲンキダケをすりつぶしていく。
「まあ、本当はアビリティで簡単にすりつぶせるんだけどね。」
「え!」
「今日はヒロシ君に少しでも薬作りの雰囲気を味わってもらいたくてね。」
「ッフ。そうなんですね。」
俺は思わず笑っってしまった。
「後は素材を全部濾過器に入れればいい。この濾過器は同時にかき混ぜてくれるから、後は待つだけだ。」
ジルさんは小さな濾過装置を持って来て、素材を1つずつ入れていく。
本来の薬はこんな簡単ではないですが、この世界、セロではこういう風に作られています。