第九十二話 「そうだな。3日後一緒に取りに来ればいい。」
今月第3話。
装備屋 アナグラ 鍛冶工場
装備の具合を見終えたおやっさんに連れられ、俺とジャックは店の奥にある工場に入る。
「簡潔に結果だけ言うぞ。まず、ヒロシのライトアーマーだが、これは修復可能だ。2、3日もあれば直せる。だが、面倒なのはジャックの方だ。ジャックのは革鎧ってのもあって、この損壊具合だと直すより買った方がいい。この鎧に特別な思い入れが無ければ、新しく買うか、素材があるなら作る事も出来る。どうする?」
俺達の鎧は鎧掛けに掛けられ、損壊部分がしっかりと見える様になっていた。
「俺の方は修復を進めてもらって構いません。ジャックお前はどうする?」
革鎧の素材になる魔物の皮や骨などは多分今まで狩ってきた物で足りている。
「そう…すね。新しく作ってもらってもいいすか。」
本当ならもっとしっかりとした鎧が欲しいが、今ある素材では革鎧くらいしか作れない。
(フルプレートはジャイアントスパイダーを狩るまで我慢だな。)
「分かった。素材はあるんだよな?」
「ええ。」
俺は今まで狩った魔物達の素材を1つずつエクストラポケットから取り出す。
俺達が持っているのはブラックウルフ、ホーンラビット、シャルルジカ、レッドボアの皮と骨や牙だ。残念ながら討伐した冬越し熊は解体は出来なかった。
ちなみに、今取り出してるのは俺の分で、ジャックはマザーステイストにある自室に保管しているらしい。
「ほう、レッドボアの皮か。どれくらいある?」
おやっさんは素材の状態を1つずつ確認している。どれが使えるか鑑定しているのだろう。
「えっと、8枚です。牙は4本あります。」
(そういえば、レッドボアの素材は俺が仕舞ったまんまだったな。後でジャックの分を渡さなきゃな。)
「そうか。なら、鎧はレッドボアの皮とブラックウルフの骨で作るか。」
「うす。それでお願いします。ヒロシ、ブラックウルフの素材は後で返すでいいすか。」
「ああ。」
おやっさんと相談して、ジャックの革鎧はレッドボアの厚い皮4枚とブラックウルフの骨10本、後所々ブラックウルフの皮を使う事で決まった。
鎧の修復及び製作の話が終わり俺達は工場を出た。
「さて、方向性が決まった事で次は勘定の話だ。まずはヒロシの鎧修復は銀貨5枚。ジャックの革鎧も銀貨5枚になる。」
「分かりました。」
俺とジャックは各々懐から銀貨5枚を取り出し、おやっさんに渡した。
「それで、鎧っすけど、どの程度で出来るすか?」
「そうだな。3日って所か。」
「俺の鎧と同じだな。」
「そうだな。3日後一緒に取りに来ればいい。」
(別々に来られるより、1度に来る方がおやっさんにとって都合がいいのかもしれない。)
ヒロシがおやっさんに使う言葉は半分敬語で半分タメ口になりました。敬語から突然タメ口になるのはなかなか難しいですよね。