第四話 「わかりました。」
やっと、会話が成立する。
半年後、俺、田中裕は庭で薪割りをしていた。
なぜ庭で黙々と薪を割ってるかって?それを説明するにはこの半年間何があったかを説明しなければいけない。ダイジェストで送る俺の半年間はおっさんに殴られて気を失ってう所から始まる。俺を熊から救いそして、一発かましたおっさんの名はケビン・スノーマン。あの腹パンは別にケビンさんが乱暴者とかそういうわけではなっかたらしい。ただ、言葉もわからない、変な恰好をした不審者でしかない俺をこのまま森の奥に放っておくわけにもいかないプラス俺が途中で逃げ出さないためであったと後から説明してくれた。言葉が通じないって本当に怖いことだと改めて学んだよ。それから半年間雑用をしながらケビンさん達の世話になっている。はいこれで俺の半年間の回想終わりっと。
それでケビンさん達に連れてこられたのがケビンさんがマスターを務めるファミリア サンダーバードの本拠地だ。本拠地と言っても2階建ての木造家屋で部屋数が左右に5部屋づつあって1,2階合わせて、20部屋ある。メンバー1人1人に部屋があり、余った部屋は客室や物置として使ってる。2階中央にはケビンさんがデスクワークをするための執務室まである。1階にはリビングルームがあり、ソファーやテーブルが置かれていて、暇なときはここでファミリアの皆さんと談笑している。奥にはキッチンがあり、大抵の場合は昼食や晩御飯はそこで食べてる。家の左側にはちょっとした庭がありそこで剣術を教えてもらっている。風呂は2階に設置されている。お風呂と言っても上からお湯が出るだけのシャワーなのだが、ちゃんとした湯舟は高級品らしく貴族や王族、富豪らにならないと買えないらしい。まあ、現実世界でもシャワー派だった俺としては別にいいのだが。ちなみに男女で入る時間が決まっていて、もし、間違って女性の時間に入ったらとんでもない地獄を見ることになるらしい。当然そんな地獄は味わいたくないので時間通り入るようにしている。家の説明はこれくらいかな。
「は、よいしょっと。よし、今日の分の薪割りは終わった。」
「ヒロシ。」
額の汗を手で拭って、一息つこうかとした所で家の中から俺の事を誰かが呼んだ。
「はい。」
俺は呼び声に答え、庭から土足で家の中に入る。
この世界では、家の中は基本土足らしい。
家の中に入っていくと腰に届くくらいの黒髪美人が俺の事を待っていた。彼女の名前はラウラ・バークドック。ファミリア サンダーバード所属の冒険者で俺の教育係だ。
「薪割りは終わった?」
「はい、今日の分は終わりました。」
ラウラさんの質問に答える。
「そう。じゃあ少し休憩したら、西大陸語の勉強をしましょう。」
「わかりました。」
これから説明する事がたくさんあるな。