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巨人と少年  作者: 暫定とは
一章『邂逅』
6/93

6

 村を出ること自体は、子供だけでも許されていた。遺跡の入り口すら、封じてあるわけではないので入ることは容易だった。リリはバーンズに連れられて、何度か遺跡の前まで来たことはあったので、それは知っていた。村を出て一時間ほど歩いた地点に、その巨大遺跡は(そび)えていた。

「俺、近くで見るの初めてだ……」

 ジンは遺跡を見上げてそう言った。「オレも」とニックが続く。

 ここまで近くに来て見るのは、リリも初めてであったので、改めてその大きさに驚いていた。中央に聳える高い塔は、――恐らく既に折れている為、かつては更に高かったのだろうが――目測でも百メートル弱はある。

 千年前、これが町だったのか、或いは一つの大きな建物だったのか、今はもう分からない。確かなことは、千年経った今でも、ここまでしっかりと形を残す建物を造る技術が、千年前のこの地上に存在していた、ということだ。自身が住んでいる木造の家は、人が住まなくなれば百年ももたないであろうということは、リリにも分かっていた。

 かつて、ここに暮らしていた人々の息遣いを感じ取るように、リリはその瓦礫(がれき)の一つを、そっと撫でてみた。ザラザラとした岩のような感触だが、その断面は綺麗に削られている。

「さあ行くぞ」

 ジンはそう言うと、腕を大きく振りながら、遺跡の入り口にずかずかと入って行った。リリはニックと共に、その後を追った。

「ごめんくださ~い」

 声を震わせてそう言ったニックの頭を、ジンは軽く叩きながら言う。「バカ、誰もいるわけないだろ」

 入り口の部屋はエントランスのようになっていたのだろうか、吹き抜けになっており天井はかなり高い。崩れかけた壁や天井の隙間から、多分に光が入り込んでいた為、遺跡の中はそう暗くはなかった。然し、どうやら外からの光を遮っているものは、壁と天井だけではないようだった。リリはいち早く、その〝気配〟に気が付くと、身構えて言った。「待って」

 リリは普段、ヘルズを相手に組み手の練習をしていた。いつ使うのかは分からないし、死ぬまで使うことはないかも知れないとすら、リリは思っていた。が、先ほど一旦家に帰った際に、念の為に組み手用の指無しグローブを付けてきて良かったと、リリは心底感じていた。靴も普段履きのボロ靴ではなく、組み手の時に履く、動きやすく硬い、焦げ茶で革の材質のものに変えてある。

「何だよリリ、もう怖気づいたのか?」

 挑発的にそう言いながら、ジンはリリを振り返った。が、身構えるリリの姿を見ると、自身もその動きを止めて、ジンは耳を澄ませてみた。

「……何か居る」

 リリの声に、ジンは頷くと、自宅からこっそり持ってきていた、竹刀(しない)のような武器を構えた。

 キッキッキッキッ、と、鳥の鳴き声のような甲高い音が辺りに響く。「ヒィッ」と声にならない声を上げると、ニックはジンの背後に回り込んで身を(かが)めた。音の出所を、リリは懸命に探った。数秒を以て、リリはその音が、上方から聞こえてくるものだと悟った。が、その時にはもう遅かった。ジンが叫ぶ。「上だ!」

「分かってるよ!」 

 天井に貼り付いていた、蝙蝠(こうもり)型の小さな魔物――『ナイトレイド』が数十匹、リリたちに向かって一斉に羽ばたいた。

 小さな体格を活かした軽い身のこなしで、リリはナイトレイドたちの攻撃を(かわ)しつつ、打擲(ちょうちゃく)や飛び蹴りでこれに応戦した。リリの背後では、ジンが負けじと竹刀を振るって、ナイトレイドたちを次々と地面へと叩き落していく。数分間に渡るナイトレイドの猛攻を、リリたちはなんとか、無傷でやり過ごすことが出来た。息を切らしたリリが後ろを振り返ると、自分とジンの間にしゃがみ込んだニックが、頭を抱えて震えていた。

 戦闘が終了したことを悟ると、然しニックは頭を抱えたまま、キツネ顔のツリ目を、腕の隙間から覗かせて尋ねた。「お、終わった? 終わった?」

「ああ、……もう居ない」

 リリと同様に息を切らしながら、ジンが答えた。その瞬間、何処に残っていたのか、一匹のナイトレイドが、ニックの頭を目掛けて飛来した。

「だァッ!」

 駆け寄ったリリが、回し蹴りで空中から地面に叩き付けると、ナイトレイドはその場で数回痙攣したかと思えば、あっけなく息絶えた。

「あ……、アリガトウ」

「どういたしまして」

 両手を叩き合わせながらそう返すと、リリは広間と思しきその部屋から、更に奥へと続く通路へと目をやった。ジンも同様に、睨み付けるような眼差しで、通路の先の暗闇を見つめている。 

「……ま、まだ行くの? もう帰らない?」

 ニックの声は、少しだけ震えていた。然し、リリとジンの答えは揺るがなかった。

「行くぞ」

 ジンの声掛けを合図にするように、リリとジンは歩き出した。二人の進行方向と出口のほうを、ニックは素早く、交互に数度見比べてから、二人に付いていくことにしたらしく、その後ろ姿に駆け寄った。然しその顔は、依然として恐怖に駆られている。

 とはいえナイトレイドは、然程危険な魔物ではなかった。魔物の中でも小型の部類で、リリやジンのような少年にも倒せない相手ではなかったし、毒も持っていない。村にも時折現れるのを、大人たちが追い払っているところを、リリたちは幼い頃から何度も見てきた。勿論、自分で相手にするのとそれとでは、わけが違うのだが。

 リリたちは無言になって、奥へと進んでいった。途中、数度ナイトレイドの群れと遭遇したが、入り口にいたものよりも大きな群れには出会わなかった。然し、瓦礫が散乱する険しい道のりには、リリもジンも、徐々に体力を奪われていった。

 階段を下り、三人は地下に降りた。暗さは少し増したが、まだ地上からの明かりが漏れており、視界はそこまで悪くはならなかった。通路は相変わらず広い。壁画だったのか、通路の案内図だったのかは分からないが、壁には時折、何かが書かれていたような跡が残っていた。

 或るところで、「ヒッ」と高い声を漏らしながら、ニックが立ち止まった。

「なんだよニック、――ウッ」

 ニックの視線を探ったジンも、その先にあったものを目に映すなり、ニックと同様、声にならない声を上げた。二人の視線を、リリも追ってみた。酷く錆び付き、風化した鉄格子の向こう側には、人のものと思しき無数の骨が、所狭しと散乱していた。

「牢屋……かな」

 リリは気味悪げに口角を上げながらそう言って、そこに収監されていたであろう者たちの亡骸(なきがら)に、暫し思いを馳せると、再び奥へと歩き出した。

 緊張は少しずつ、恐怖へと変わっていった。ジンの足取りも、段々と重くなってきているのがリリには分かった。

 リリとジンのどちらかが、「もう帰ろう」と言い出すまで、この探検は続きそうだった。どちらが先に音を上げるか、お互いにムキになっていた部分もあったし、特にリリは、この遺跡に興味が湧いてきてもいた。コントゥリで暮らす中では見たことのないようなもので溢れているし、ここでどんな営みがあったのか、そして千年前、何故それが唐突に終わってしまったのかが、リリには気になり始めていた。

 そんな中、或るものを発見したリリは、その場に立ち止まると、右手の人差し指で、〝それ〟を指し示した。「ねえ、……ここ」

 リリに続いて立ち止まったジンとニックは、リリが指差した壁面に視線を向けた。分厚い土埃が被さってしまっている為、一見して分かりづらかったが、そこにはどうやら、木製で片開きの扉があったようだった。表面の土埃を、リリが手で払ってやると、それは明らかになった。唾を飲み込むと、リリは恐る恐る、その取っ手に手を掛けた。軽く引いても、少し軋むのみで動かないので、リリは思い切って、その取っ手を両手で握り、それを渾身の力で引いた。ギギギ、と今にも壊れそうな音を立てながら、その扉は開いた。

「……」

 何も言わずに、誰からともなく、三人はその奥を覗き込んだ。中は通路になっているが、それまでに進んできた通路とは違い、明らかに狭い。人一人通るのがやっとのようだった。そしてその通路には、一寸たりとも光が入っていない。奥には別の空間があるようで、薄らとそこだけが明るく見えた。が、そこまで目測で、五十メートル以上はありそうだった。

 三人は息を飲み込んだ。お互いの考えを確認するように、リリとジンは視線を交わした。そんな二人の顔を、ニックは交互に伺った。

 通路の先にあるものへの好奇心と恐怖心が、リリの中では(せめ)ぎ合っていた。確かめるように、リリは今一度、通路の先の光へと目を向けた。その時だった。

「……ォォォォオオオオオ」

 奥から吹き抜けてきた風と共に、地響きのような(うな)り声が、リリたちの耳に届いた。驚きに、三人は揃って目を見開き、背筋を強張らせた。五秒もしないうちに、ニックは断末魔(だんまつま)のような叫び声を上げると、来た道を全速力で逃げ出した。ニックの叫び声に驚いたジンも、普段の横柄(おうへい)な態度からは想像もつかないような悲鳴を上げながら、それに続いた。二人の声が遠ざかっていく間、リリの思考は停止してしまい、そこから動くことが、リリには出来なくなった。

 ジンとニックの声が完全に聞こえなくなってから、リリは今一度、息を飲み込んだ。取り残されたことで恐怖心は増していたが、それを遥かに上回る勢いで膨れ上がる好奇心に、リリはついに、逆らう気すら失った。

(……いこう)

 天井に頭をぶつけないよう気を付けながら、リリは通路へと足を踏み入れた。

 父の言葉など、最早リリの頭にはなかった。ジンを見返してやろう、という気持ちも、大きな青い魔物のことも、リリはすっかり忘れていた。純粋に自分の興味を満たす為だけに、リリは通路を進んでいった。父が知れば呆れることだろう。通路の中ほどまで進んだところで、リリはそれらのことを思い出してそう思ったが、戻る気持ちは湧かなかった。やがてその先の光へと、リリは辿り着いた。

 吹き抜けになっていた入り口の大広間ほどの広さはないが、そこには広間が広がっており、その奥には祭壇(さいだん)のようなものがあった。祭壇の後ろには巨大な壁画がある。天井からは地上の光が漏れていて、空気中に浮遊する粉塵(ふんじん)は、その光を反射して輝いている。埃っぽさに軽く咳を払いながら、リリはその祭壇に近付いた。

 その景色に、リリは見覚えがあった。

一昨日(おととい)の夢で、僕を呼んでいた……)

 そこには、対になった二本の角の生えた、褐色(かっしょく)の楕円体が一つ、祀られていた。左側の角は先が欠けてしまっており、経年によってか、表面には苔が生えかけてしまっているほか、ところどころから小さな植物が芽を出している。

(ドルミールだ)

 リリはゆっくりと、その楕円体に近付き、そして両の手で、そっと触れてみた。

 刹那(せつな)、楕円体は(まばゆ)い光を放ち出すと共に、言い表しようのない高音を立てながら、ずんずんと肥大化を始めた。広間を覆うほどの眩い光に、リリは目を閉じてしまっていたので、その光景を見ることは叶わなかった。(ほとばし)る光の中で、瞼の内側からその様子を想像しながら、リリは光が収まるのを待った。

(ドルミールは、限られた人間に触れらることでしか目覚めない……! これが僕の、僕の……!)

 音と光が止み、肥大化が止まったことを察すると、リリは恐る恐るゆっくりと、その目を開いてみた。

 リリの目の前には、土のようにザラザラとした質感で褐色の肌を持つ、ずんぐりむっくりとした体型の巨人が立っていた。二メートルほどの高さを持つ身体には、背中を始めとし、あちこちから苔や植物の芽が生えている。上半身には緋色(ひいろ)のボロ布を、下半身には浅縹色(あさはなだいろ)のズボンを、彼は纏っており、左の足首には金に輝く足輪を付けていた。太ましい手から生える五本の指は、それぞれがリリの頭ほどの大きさもある。頭部も大きく四頭身ほどで、顔は横に広い。黒くて大きい目はギョロリとしており、半開きの口はやたらと横に長く、芥子色(からしいろ)のボテッとした鼻は、褐色の顔の真ん中で、後から付け加えられたかのように目立っていた。頭の両脇から斜め上に向かって突き出た角は、中ほどから先が直角に折れ曲がっている。が、左側の角はドルミール同様に先が欠けてしまっている。そして、彼は出べそだった。

(僕の……、アー、ツ……)

 少なくとも、それを目覚めさせたリリですら、ヘルズのように格好良いとは思えない見てくれを、その巨人はしていた。

 正面に伸ばしたままだったリリの手は、巨人の両手に掴まれていた。とはいえ手の大きさは何十倍もある為、巨人はリリの手を、両手の人差し指の先で、ほんの軽く挟んでいる程度だったが。

 巨人は未だ、何が起こったのか分からない、という様子で辺りを見回していた。そして漸く顔を下に向けると、そこにいたリリに気付いて驚いた。巨人と目を合わせたリリは、とりあえず、愛想笑いをしてみた。巨人はゆっくりと、その口を開いた。

「オデ、ドボロって名前だ」

 ドボロ、と名乗ったそのアーツの声は、いかにも肥満体型の人間が出しそうな、野太い声であった。

「ぼ、僕はリリ。君を目覚めさせた。でも、なんていうかその……」

 リリの頭は、急速に冷静になっていた。()(かく)、ドボロを連れて帰るわけにはいかない。遺跡に入ったことが父に知れれば、それこそ何を言われるか、分かったものではない。

「リリ。オデ、リリと会えるのをずっと待ってただ。会えて嬉しい」

 そう言うと、ドボロは横長の口を縫い合わせるようにピッタリと閉じて、その両端をゆっくりと持ち上げて笑った。

「あ、アハハ、僕も!」

 どさくさ紛れにそう言って、リリは来た通路を戻ろうとした。が――。

「これからよろしくだ、リリ!」

 ドボロの大きな手によって、軽々と抱きかかえられたリリは、そのまま彼の背に、背負われる形で乗せられてしまった。戸惑うリリには目もくれず、ドボロは続ける。

「リリ、しっかり掴まってるだ」

「え? え? あっうん! えっ?」

 と、ドボロは跳躍した。硬い土の天井を角で突き破って地上に出ると、ドボロは平原に広がる瓦礫の遺跡群の中を、ドスドスと走り始めた。久々に感じる外の空気を慈しむかのように、その表情に満面の笑みを浮かべながら。

 ドボロの躍動の度に起こる震動に、リリの三半規管は混乱した。無意識のうちに、リリは自分でも何処から出ているのか分からない叫び声を漏らしていた。

「うわぁぁああぁぁっ」

 鈍重(どんじゅう)な見た目とは裏腹に、ドボロは機敏だった。走っていたかと思えば跳ねて、飛び上がったかと思えば転がる。宙に投げ飛ばしたリリが落っこちてくるのを、ジャンプした上で、器用に空中でキャッチしたりもした。ドボロは本当に嬉しそうだった。まるで、ずっと会っていなかった親友に、数年振りにでも再会したかのように。リリはとっくに目を回していたが、慣れてくるとその躍動を、自分でも楽しめるようになっていた。

「ィヤッホ―――!」

 声を裏返してそう叫びながら、リリは空中でクルクルと回転する。ドボロは着地地点まで走り、リリを横抱きにして受け止める。最初、リリはこの巨人に潰されてしまうのではないかとも恐怖していたが、ドボロは人間の扱いをよく理解しているようで、その心配は要らなかった。

 そのうちに、リリは笑いが止まらなくなった。そんなリリを見て、ドボロもずっと笑っていた。空中からは、リリの見たことのないような景色が広がっていた。

 森が見えた。教会のような建物が見えた。そして遥か遠くには、城のようなものも。あれが帝都なのかも知れないと、リリは思った。

(ドボロと一緒なら、何処へだって行けるのかも知れない――)

 肩車の形で背負われたリリは、ドボロの肩から眺める景色を見つめながら、そんなことを思っていた。

「ねえドボロ」

「なんだ?」

 息を切らしながら、ドボロは尋ね返す。十数分動き続けて、流石に少し疲れたようだ。

「ドボロは、いつから眠っていたの? 眠りに就く前は何をしていたの?」

 その質問に、ドボロは立ち止まった。二人が見つめる西の空は、夕焼けに赤く染まり始めていた。

 考え込むようにして「うーん」と唸ると、ドボロは言った。

「……思い出せないだ」

 ドボロの肩の上から、彼の顔を覗き込むとリリは尋ねる。「思い出せない? そんなことあるの?」

 ドボロの肩から飛び降りたリリは、空の彼方に沈みゆく夕陽を見つめながら、その場に座り込んだ。それに呼応するように、ドボロもその隣に座った。

「ずっと昔だからかも知れないだ。どのくらい昔だったのかも思い出せないだ。でも……」

 ドボロはその大きな右手で、ボリボリと頭を掻いた。土で出来た身体が崩れてしまうのではないかと、リリは心配になったが、そこまで脆く出来てはいないようだった。

「でも?」

「オデは、落ちこぼれだっただ。いつも強いアーツにからかわれてばかりだった……。強くなりたかっただ……」

 赤い光に照らされるドボロの横顔は、酷く悲しげだった。ドボロの言葉に哀愁(あいしゅう)を感じながら、リリは彼の過去に思いを馳せてみた。他のアーツが生きていて、ずっと昔、ということは、もしかしたら千年前のことかも知れない、とリリは思った。千年間、ドルミールの状態であの遺跡の奥に忘れ去られていたのなら、途方もないことだ。

「ドボロ……、ホントは僕は、君を連れて帰れない。あの遺跡には、子供だけでは入っちゃいけないことになってたんだ」

 リリの言葉に、ドボロはリリの顔を振り返りながら、驚きに目を見張った。それから時間を要さずに、彼は再び、寂しげな表情に戻った。が、続くリリの言葉に、ドボロの表情は一転して、喜びを(たた)えると共に輝いた。

「でも、僕は君と一緒に行きたい。君は僕に似てるから」

 強い者に嘲笑われ、強くなりたいと願うドボロを、リリは普段の自分と重ね合わせていた。そして、ドボロと一緒なら強くなれるかも知れない、ドボロと一緒に強くなりたいと、リリには思えるようになっていた。

「オデも、リリと一緒がいい。もう、遺跡の中で一人ぼっちでいるのは嫌だ」

「うん」

 立ち上がってそう言うと、リリはドボロの目を見つめて、強く頷き返した。よく見れば愛嬌(あいきょう)のある顔をしていると、リリは思い始めていた。

「うちへ帰ろう」

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