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巨人と少年  作者: 暫定とは
五章『宿命』
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 それから数ヶ月の後。たった一つの問題点を残して、アーツの基礎は本当の意味で完成した。

 精霊を基に造られているアーツは、精霊と同じく、基本的に不死である。人間や他の動物であれば致死的な怪我をアーツが負ったとしても、彼らの身体はほぼ全てがフォルスで構成されている為、アシリアからフォルスを受け取ることで、時間は掛かれど基本的には回復が効くからである。が、万が一戦闘などで身体を真っ二つに切断されるなど、回復のしようがないほどの大怪我を負ったり、回復を待たずに損傷に損傷を重ねた場合、これも精霊と同じく、アーツにも死は訪れる。破壊――ジークはアーツの死を『死亡』とは言わずに『破壊』と呼んだ――されたアーツは、アシリアを巡るフォルスの流れに還元され、一年から数年をかけて、世界各地に点在する、フォルスの流れの吹き出るポイント、フォルススポットから、ドルミールの状態で再生する。

 精霊の生態系を研究し尽くし、それを模倣(もほう)したジークは、アーツの肉体でここまでを再現することは叶った。然し、どうしても再現の出来ない要素が一つだけあった。それがアーツに残された、最後の問題点だ。何万と計算をし直し、何千と試行を重ねても打破することの出来なかったこの問題点を、ジークはついに、解決することを諦めた。アーツに残った最後の問題点は、〝再生したアーツに、生前の記憶が残らない〟ということである。

 アーツが破壊され、フォルススポットから再生した場合、かつての使役者など、波長が或る程度合致している人物がそのドルミールに触れることで、再び活動体の巨人の姿として目覚めるよう、ジークは組織した。然し、この時再生したアーツには、使役者のことも、自分が何者だったのかということも、基本的に思い出せなくなってしまっているのだ。それが致命的な問題ではないということが、完璧主義のジークに諦めを付けさせたが、ジークの胸にはどうしても、言いようのない(わだかま)りが残った。

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